第7話 ライブー1
週末、国見さんと待ち合わせ場所に向かっている。
夜七時開演なのに待ち合わせ時間はなぜか朝九時だった。
「桐谷くん遅いよ!」
待ち合わせ場所に着くなり国見さんに怒られた
「遅い?夜七時からじゃないの?」
「何言ってるの?入待ちもあるし、その場所取りもあるんだよ」
「へぇー」
「へぇーじゃないよ、さあ急がないと」
俺は国見さんに引かれライブ会場に向かった。
会場につくとスタッフ入口に人だかりが出来ており、整理が始まっていた。
「あーもう一杯じゃない、桐谷くんのせいだよ」
「何でこんなにいるの?まだ、早いじゃん。」
「もう、そんなこと言って、ミウ様のライブだよ。」
「ミウのライブだからだよ。」
「むむ、認識に違いがありますな。」
「俺からしたらミウは妹みたいな感覚なんだよね。」
「この贅沢者め!」
国見さんと話ながら待っていたら周囲が騒がしくなった。
「なに?何が起こった?」
「桐谷くん何言ってるのミウ様が来たんだよ早く手をふらなきゃ♪」
国見さんは少しでも顔を出そうと跳び跳ねながら手を振っていた。
あまりの勢いについていけなかった俺は少し離れてうしろから見ていたら小さい女の子が人混みに押され倒れた、しかも、周りは気付いていないみたいで踏まれそうになっていた
俺は慌ててその子の元にいき、人混みから助け出した。
「君大丈夫?ケガしてない?」
「大丈夫です、ありがとうございます」
「よかった、でも、人混みは気をつけてね。」
「はい、これじゃミウ様を見ることは無理そうですね。」
女の子は下を向き悲しそうな顔をしていた、
「まあ、仕方ないか、あの人混みは越えられないよ。」
「ですよね、会ってお願いしたいことがあったんだけどなぁ~、まあ、贅沢な話ですね。」
「お願いしたい事?一応聞いてみてもいい?」
「ええ、すっごい定番な話なんですが、実は妹がすごいファンなんです、それで今度手術をするのに、ミウ様の励ましが欲しいとワガママを言ってまして、叶えられたらと思って挑戦してみようとしたのですが・・・」
「お姉さんの君がケガしたら台無しだよ。」
「そうですよね、あんなに人が多いとは思いませんでした。」
「俺もそう思うよ、さて、君の親御さんはどこにいるのかな?送っていくよ。」
「今日、親は来てないんです、入待ちだけの予定でしたので・・・」
「そっか、うーん、なら少し時間あるかな?」
「?ええ時間ならありますが?」
「ならついてきてもらえる?」
「いいですけど、何処に行くんでしょう?」
「ミウに会いに行こう!」
「あの~会いに行けないと思うのですが?」
「まあまあ、騙されたと思って着いてきて、駄目だったら後日サイン貰ってくるよ。」
女の子は急にテンションが上がりたずねてきた。
「もしかしてミウ様と知り合いなんですか?」
「まあね、一応普段なら会えるぐらいには友人かな、ライブに来たのは初めてだから会えるかはわからないけど。」
そういうと入口に向かって歩いていった、
歩き初めてお互い名乗っていないことに気付き自己紹介することにした。
「あっ、今更だけど俺は桐谷リョウ25歳の社会人だ、名前ぐらいはいっとかないとな一応言っとくけど不審者じゃないつもりだよ。」
女の子も名乗ってないことに気付き
「ふふ、私は山中マイです、11歳です、りょうさんが不審者じゃないぐらいはわかりますよ、助けていただきましたし・・・」
入口に着くと入待ちしていた人もだいぶいなくなり、入口の警備員の所にいき取次をお願いしたが相手にしてくれなかった。
仕方ないので電話をしてミウを呼ぶ事にした。
「りょうくんいたー」
「おっ、きたきた、ミウごめんな手間かけて。」
「ううん、全然いいよ、それより今日は私の歌を楽しんでね♪」
「おー楽しませてもらうからトチるなよ。」
「もう、そんなこと言って!まあ、こんなとこじゃなんだから中にどうぞ。」
ミウは中に入れてくれる。
「あーミウこの子も入れてあげて。」
俺は一緒にきたマイを指差した、
「?だれ?りょうくん同僚と来るって言ってなかった?」
「まあ、事情があってね、ここじゃなんだし中で話そう、」
「いいよ、りょうくんのお客さんなら私のお客も同じだしね、」
ミウはマイも連れて楽屋に向かった、
マイは固まっていた。
楽屋につくとミウは事情を聞いてきたので俺は説明した。
「なるほど、いいよ、励ましの手紙書いてあげる。」
「いいんですか?」
「うん、でも誰にでも書く訳じゃないからね、りょうくんの頼みだから書くだけだから。」
「ありがとうございます。」
マイは頭を深々と下げていた。
「ミウありがと、後ごめんな、勝手に連れてきて。」
「いいの、旦那様のワガママを叶えるのも良妻のお仕事なのです。」
「まだ、結婚してないだろ。」
「お二人はそういう関係なのですか!」
マイは勢いよく聞いてきた。
「そうなの、まだ秘密なんだけどね♪」
「すごくお似合いです、りょうさんも優しくてカッコいいし、ミウ様の可憐な感じがものすごくいいです。」
「りょうくん、りょうくん、この子凄くいい子だよ♪」
「おまえ、どこで人見てるの?」
「あっ!マイちゃん妹さんの名前聞いていいかな?」
ミウは手紙を書こうとしていた。
「すみません、ユミと言います。」
「ユミちゃんね。」
ミウは名前を確認すると手紙を書き出した、
しばらくすると手紙を書き終えマイに手渡す。
「ありがとうございます、妹も、喜ぶと思います。」
「いいよ、気にしないでね。」
「なあ、ミウ、一応写真も一緒に撮っとこう、信用されなかったら可哀想だし。」
「そうだね、じゃあ三人で撮りましょう。」
ミウの薦めで写真を撮った。
「マイちゃんはこの後どうするの?」
「お手紙持って妹の所に行こうと思います。」
「えっ!ライブ見ていかないの?」
マイは苦笑いしながら、
「チケットありませんし・・・」
「なら、席は用意してあげる見ていってよ。」
「コラ、ミウ無理は言っちゃ駄目だぞ、帰りが遅いと親御さんが心配するだろ。」
「いえ、親は連絡すれば大丈夫です、それよりいいんですか?ミウ様のライブチケットってかなり高価ですよ。」
ミウは笑いながら、
「本人だから高くないの、りょうくんの席も用意したからその横に用意しとくね。」
「ありがとうございます、すぐ親に連絡してきます。」
マイは凄く喜び親に連絡していた。
「りょうくん、マイちゃん可愛いけど浮気は駄目だからね。」
「おいおい、まだ子供だろ?対象外だろ。」
「信じてるけど一応釘さしておかないとね。」
「なんだそれ?」
親の許可を貰ったマイは跳び跳ねながら喜んでいた。
ライブまで時間はあるがミウも準備があるので楽屋を後にした、ミウから中に入れるようパスを貰ったので休憩場所はゲットできたが、
外に出ると国見さんが鬼の形相で待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます