第6話 夢

 

 気付くと草むらにいた。その瞬間にこれが夢だと理解した。


「今日もかわいいね、ロミちゃん」


 そのうみは今の俺と同じくらいの歳だ。

 夢の中のうみは俺に気づく。そして、決まって俺に微笑みかける。


「海翔もさわる?意外となつっこいよ」


この笑顔も目が覚めると忘れてしまう。

 夢の中だけでなら、他の夢も思い出せる。

 うみがピアノを弾いてる時もあれば分厚い本を読んでる時もある。たいてい俺に気づいて微笑む。

 目が覚めると全部忘れているけれど。

 そしていつも俺が手を伸ばし、話しかける所で目が覚める。

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