第5話 家

 ドアを開けると涼しい風が漏れてきた。急いでドアを閉めて、靴を脱ぐ。


「おかえりー」


 母がリビングから顔を出した。


「ただいま母さん、これ父さんの机に置いといて」


「正君から?」


「そそ」


 その瞬間ガチャリと玄関が開いた。何を隠そう俺には姉がいる。もう自立した兄もいる。


「ただいまー」


「お帰りなさい」


 自室に行こうとしたが、母に首根っこを掴まれた。


「もうちょっとでご飯が出来るから風呂入ってこい」


「はーい」


 階段を駆け上がって自室に行く。2階は暑く、電気とエアコンをつけた。

 棚にある分厚いアルバムが目に付いた。開くと、幼い頃の自分が写っている。幼稚園からの写真には必ず横にうみがいる。中には父さんとうみと俺、とかいう、空しくなるような写真もある。

 アルバムを棚に戻し、ベットに寝転ぶ。

 そのまま目を閉じた。

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