第5話 結末

目が覚めると、僕の頬に涙がつたっていた。


覚醒していくにつれて、僕はある真実を確信した。

僕と一緒に生まれるはずの裕太は、この世に現れることができなかったのか。


防空壕で一緒に遊んでいた裕太は、もとの裕太と同じところに行ったんだ。あんな小さい子が電車に一人で乗れるはずはなかった。僕はそれすら想像できなかったのか。


JR身延線「落居駅」旧駅舎にある工事跡地から小さな子供白骨死体が見つかったというニュースが地元紙の社会面に小さく掲載された。小さくうずくまって、手に何かを握りしめたまま土に埋まっていたという。

母からの連絡を受けて、僕は芽衣と再び実家に向かった。



匿名で地元の警察に電話したのは自分だった。


白骨となった小さな手の中には、金色のお地蔵さんが握られていた。それは、叔母が裕太に持たせたお守りの中身だった。小さな手で裕太はずっとお守りを握りしめ、きっと不安な気持ちで一杯にしながら、、、。僕は悲しい気持ちになった。


僕は、母と叔母の前で、僕の知ってる裕太の話をすることにした。

生まれてからずっと続いてきた夢の話をするのは難しい作業だったが、僕と裕太の20年以上の付き合いについて、二人ともその時間を共有したいと思った。


それから、僕の代筆によるメッセージを二人に渡した。

それは裕太から、母と叔母に向けた最後のメッセージだった。


「僕には二人のお母さんがいるんだ。戸籍上の話ではなくて、本当の『母』という意味でね。二人には僕を生んでくれたことを心から感謝してる。母も二人だし、僕自身も二人なんだ。僕たちはずっと圭吾と一緒で、今でも圭吾の中にいるよ。」

「僕たちの肉体はなくとも、裕太の言葉は僕らの言葉、文字は僕たちの字、心も圭吾と常に一緒なんだ。悲しまないで。圭吾と一緒に二人に親孝行するから。ずっと圭吾と一緒にいるから。」


そして、少し行を空けて、最後の言葉が書かれていた。

「僕たちの夢はこれからもずっと、ずっと続いて行くんだ。」


僕と芽衣の子は、母と叔母、二人のおばあさんを持つことになるってことか…。もしかして子供が双子だったりして…。まさか。

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夢の続き usagi @unop7035

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