番外編

凪が死んだ日から5年。夜斗の自宅で、十歳程度の子供が窓から外を見ていた

夜斗に呼ばれて下に走る少年。リビングにいたのは、霊斗と天音、そして父である夜斗だ



「おはようございます、霊斗さん、天音さん」


「礼儀正しいな…。本当に夜斗の子供か?」


「殺すぞ」


「悪かったよ。なぁ凪、君はなぎさを好きか?」


「はい!」



夜斗は子に、凪の名を与えた

ここに意思が残っている。そう信じて



「そっか。決まりだな、夜斗」


「ああ。それでいいだろ、お母さん?」



リビングの奥にあるキッチンから、肯定の意を返す女性がいた

凪はその女性のもとに走り寄り、笑顔を見せる

自室に戻った凪はまた窓の外を眺めて呟いた



「変わらないな、夜斗」



風に吹かれた本のページが捲られていく

凪はフッ、と笑ってあどけない顔に戻った

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幻想少女の恋煩い 本条真司 @0054823

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