第64話
翌日、蓮也が目を覚ますと既に二人は目覚めていた様で、テントの中に1人取り残されていた。
外に出ると、そこにはライラとリリアが仲良く朝食を作っていた。
「あら、蓮也ちゃんも起きてきたわね♪」
「おはよう、蓮也。」
「2人ともおはよう。 」
蓮也の目の前にはパンとスープ、そして干し肉が並べられていた。
それを3人で仲良く食べると、ふと気になった事があった。
「あ、そう言えばなんですけど、ベヒーモスって強いモンスターのイメージがあったんですけど、こんな階層に出てくるもんなんですか?」
「弱くはない筈よ、私も昨日初めて見たけど。」
「…ギクッ。」
蓮也のその質問に目を泳がせて、冷や汗を流すライラ。
2人の視線から逃げる様に顔を逸らして話を変えようとする。
「あ! 2人ともこれを見て! クリスタルフラワーよ! オークションでかなりの高値で売れるわ!」
「へぇ、確かに綺麗ね。」
「あれ、そう言えば昨日から色んな素材採れてるのに、俺達以外の冒険者を見ない気がする。」
「そうよね、もっと人がいっぱい居るものだと思ってたわ。」
2人がライラを見ると、下手な口笛を吹きながら空を見上げていた。
この様子に何かあると確認した蓮也とリリア。
暫く様子を見てみると、観念したのかため息をついたライラが口を開いた。
「ごめんなさいっ!」
「えっ?」
「実は、3ヶ月位前からこのダンジョンは立ち入り禁止になってるの…」
「どういう事ですか?」
「前までは
「何が起こったの?」
「簡単に言うと、昨日のベヒーモスみたいな現象ね。 普段は深層にしかいない魔物が浅層に現れるようになったの。」
「でも、私達は普通に入れたわよね?」
「実はね、国王陛下と修ちゃんに頼まれたのよ。 2人ならこのダンジョンを正常化出来るかもしれないからアシストして欲しいって。断られると困るから、この事は秘密にってね。隠しててごめんなさい。」
深く頭を下げるライラに、蓮也とリリアは目を合わせて笑いあった。
「あの2人から口止めされてたんでしょ? ならライラは悪くないわ。」
「そうそう、それにこの3人での冒険も思ってた以上に楽しいし。」
「蓮也ちゃん…リリアちゃん…ありがとう!」
ライラは感極まったのか、勢いよく2人に抱きついた。
暫くして落ち着いたライラは、ゆっくりと2人から離れて新たな決意を決める。
「こうなったら3人でこのダンジョンを攻略しちゃいましょ〜!」
「「おー!」」
「ふふっ、それじゃあ早速次の層に行きましょうね〜♪」
胸のつっかえが取れたからか、鼻歌交じりに歩き出したライラに続く蓮也とリリア。
3人の足取りは軽く、続く11層へと足を踏み入れたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます