第23話






「さて、こんな所で話すのもなんだから、あそこのカフェでお話しましょう?」



カフェの方へ歩き出したライラの後に続く2人。 店内に入ると、純喫茶のような内装をしており、珈琲の良い香りがした。店員の案内に従って席へ着き、珈琲を3つ注文した。



「ここの珈琲がお気に入りなの。他に気になるものがあったら何でも注文してね♪」


「あの、ライラさん。 さっきの話なんですが、一体どうゆう事ですか?感謝されることは何もしていないと思うのですが。」


「そうでもないのよ、あれだけの特薬草が有ればかなりの数の上級ポーションが作れるわ。ここ数年で特薬草が滅多に出回らないのは知ってるかしら?」


「ええ、それは知人に聞きましたが、詳しくは知りませんね。」


「特薬草ってね、魔力が濃い場所にしか生えないの。 だから、周りには強い魔物がいるのよ。」



なるほど、と思いながら隣を見た。



「ん? どうしたの?」


「いや、なんでもないよ。」



首を傾げたリリアから、視線をライラに戻す。



「でも、ここ数年って事は前はある程度採れていたって事ですよね?」


「そうよ。 採取する場所があったんだけど、そこにレッドドラゴンなんて大物が住み着いちゃってね。 そんな所に、採りに行こう!なんて命知らずな冒険者は居ないわ…」


「そんな事があったんですね。」


「そ こ に !あなた達があんなにも沢山持ってきてくれたじゃなぁい? 大量に作ったのに、飛ぶように売れたわぁ♪」



ニヤリと笑うライラに、嫌な予感がした蓮也は立ち上がり、席を離れようとするも身を乗り出したライラに腕を掴まれた。そして、間髪入れずにライラが言葉を投げた。



「だ か ら ♪ また採ってきて欲しいの、お ね が い♡」



ライラの目は、笑っていなかった。すると、蓮也の隣からため息が聞こえそちらへ向くと。



「はぁ、その手を離しなさい。 それ以上蓮也に迷惑掛けると、ほんとに







ーーーーーーーー怒るわよ。」



眉間に皺を寄せ、犬歯を出しながら睨みつけるリリアがいた。



「あら、怖い怖い。 ごめんなさいね、私ったら気が早っちゃって。」



戯けた風に言いながら蓮也の腕を離した。解放された腕をさすりながらライラを見ると、体が小さく震えて口元が引きつっており、頬に一筋の汗をかいていた。




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