第21話





次に蓮也が目を開けると、祈り始めてから時間は経っていないようだった。ゆっくりと立ち上がり、神父の方へ体を向ける。



「お祈りは済みましたかな?」



ニッコリと、人の良さそうな笑顔で尋ねてくる神父。



「ええ、ありがとうございました。 また来させて頂きます。」


「何時でもお越しください。 神様もきっと、お喜びになるでしょう。」


「それでは、失礼します。 リリア、行くよ?」


「そうね、行きましょうか。」



こうして2人は教会を後にしたのであった。








「そろそろ髪を切りたいなぁ。」



少し癖のある髪をいじりながら呟く蓮也。前髪は口元まで伸び、襟足も肩甲骨程度まで伸びている。



「そうね、前が見づらそうだもの。とりあえず縛るものを探しましょう。」


「あそこが雑貨屋みたいだし、入ってみるか。」



そう言って、少し離れた場所にある雑貨屋へ入る2人。 中にはアクセサリーを初めとした様々な商品が陳列していた。



「この紐なんでどう? 綺麗な紫で、蓮也に似合いそうよ。」


「ならそれにするよ、リリアが薦めてくれるなら間違いない。」



それから暫く店内を彷徨いていた蓮也だが、指輪が並んでいる棚の前で立ち止まる。



「どうしたの?」


「リリア、折角だから指輪を買わないか?」


「指輪? どうして?」


「俺の居た所では、恋人や夫婦はお揃いの指輪を付ける風習があったんだ。 今まで付けることがなかったから、少し憧れていたんだ。」


「こ、こいびっ! んんっ、ま、まぁ? その、良いんじゃないかしら?」



声が裏返りながら答えるリリア。 そして2人は指輪を購入したのであった。






「ふ〜ふふ〜ふふ〜ん♪」



尻尾を揺らしながら、上機嫌で鼻歌を歌いながら歩くリリア。左の手を上に掲げ、薬指に付けられた指輪を愛おしそうに眺める。



「ちゃんと前を向いて歩かないと危ないぞ。」


「なら、こうしましょう!」



リリアは蓮也の左手を右の手で握り、暫く手を繋ぎながらゆっくりと歩くのであった。









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