第17話





夕食も食べ終えて食休みをしていると、ネネがジョッキを2つ持ってやってきた。



「はい。エール! 初めての人にはサービスで出してるからお金はいらないよー!」



そう言って、ジョッキを置いて厨房へ戻るネネ。



「…これが、異世界の酒か。」


「蓮也、これって何?」


「あぁ、これはお酒って飲み物でな、飲むと良い気分になれるんだ。」


「ふぅん、それじゃ飲んでみよっかな。」


「そうだな、温くなる前に飲まないと。」



2人が意を決して飲む。 ビールよりも低い刺激で苦味も少なく飲みやすい。そう思った蓮也は勢いよく飲み干した。



「「……っぷはぁ!」」



リリアも一気に飲み干したらしく、少し顔を赤くしている。そして、息を合わせてテオ



「「お代わり!」」


「毎度あり〜♪」



その後はつまみも追加しながらかなりの酒を飲むのであった。その後は千鳥足に成りながらも、2人は部屋へと辿り着く。部屋にはシャワーが備え付けられていた。



「蓮也が先でひいわよぉ。」



若干呂律の回らなくなったリリア。 蓮也もシャワーを浴びて酔いを覚まそうと風呂場へと向かい、体を流した。



「上がったぞー。」



暫くして、蓮也がシャワーを出ると、無造作に伸びている髪の毛から雫が滴る。



(こっちに来てから髪を切って無いもんなぁ。 何か縛るもんでもあればマシなんだが。)



「先にお風呂ありがと、リリアもゆっくり入ってきな。」


「ええ、それじゃ、行ってくるわ。」



酔いもある程度覚めたのか、しっかりとした足取りでシャワーの方へ向かうリリア。 程なく、シャワーの音がかすかに聞こえる。



(いかんいかん、変な事考えるなよ俺…もう寝るか。)



そう思い、ベッドにダイブする蓮也。 しかし、ふと、ベッドが1つしかないことに気がつく。



(…しょうがない、床で寝るか。)



ベッドから降り、床へ寝っ転がろうとした時、リリアが丁度上がってきた。



「ふぅ〜、スッキリしたわ。 シャワーって面白いわ。滝とも違う感覚だったわ!」



ニコニコしながら楽しそうに話しかけて来るリリアに、蓮也は叫ばずに居られ無かった。





「服着ろよ!!!」



ちょっと前もこんな事あったなぁ。等と考えながら、急いで目をそらす。



「またこっちを見ないのね! それなら私も考えがあるわ。」



そう言うや否や、リリアは蓮也にダイブした。



「ねー! なんでこっちを見ないのよぉ!」



リリアの豊満な胸が、蓮也の背中で形を変える。



「ふ、服を着ないと! ほんと我慢できなくなるから!」


「…はぁ、蓮也って、ホント鈍いわよね。」


「何がだよ…」


「蓮也なら、その、番になっても、良いわよ…」


「え…」



思わず振り向くと、頬を真っ赤に染め、唇を噛み締めながら俯くリリアがいた。





「だから、その、良いよ?」



その一言により、蓮也の理性は跡形もなく吹っ飛んだ。 身体を重ね続け、睦言を交わし、いつの間にか夜は明けていた。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る