第15話




冒険者ギルドを出て、数枚の金貨をローブのポケットにしまい、残りをアイテムボックスの中に突っ込んで歩き出す。



「すいません、串焼きを2本お願いします。」



暫く歩いていると、屋台を見つけて、香ばしいタレの匂いについ衝動買いしてしまう蓮也。



「毎度あり〜! 兄ちゃん見ねぇ顔だな! 最近来たのか?」


「ええ、今日着いたところでして、良かったらオススメの宿と服屋とかってあります?」


「それなら大熊の宿がオススメだ! 飯はうまいし安いから人気だぜ! 服屋なら3件隣にあるぜ!」


「ありがとうございます、食べたら早速行ってみます。」


「良いってことよ! ほい、串焼き2本で200Gだ!」


「それじゃあこれで。」



金貨1枚を手渡し、お釣りと串焼きを受け取る蓮也。



「ありがとな! また来てくれよ!」



元気なおやっさんに見送られ、近くのベンチに座りながらリリアに串を1本手渡す。



「これが人間の食べ物なのね…」



興味深そうにじっくりと串焼きを眺めるリリア。



「冷めてしまう前に食べなよ、味が落ちるから。」


「そうなのね、それじゃ。」



意を決して、口の中へ入れるリリア。そして



「おいしー!!!」


「ぅお!? ビックリした!」


「蓮也!これ凄く美味しい!」


「味付けされてるからな、今まではずっと焼いただけだったから。」


「味付けして、こんなに美味しくなるなんて、人間ってすごいわね。」



嬉しそうに頬張るリリアに、そっと自分の串を差し出す蓮也。


「んぇ? 蓮也は食べないの?」


「なんか、お腹いっぱいになったから食べてくれると嬉しい。」


「それじゃ、頂くわ。」



美味しそうに食べるリリアを眺める事数分、串焼きを食べ終えたので、服屋に入る2人。



「いらっしゃいませー。」


「すみません、下着を5枚、それから肌着とズボンを3つ、女性用の服も3つ下さい。」


「はーい、少々お待ち下さい。」



そう言って店内を小走りで回る店員。 暫くすると、服を抱えて戻ってきた。



「とりあえず、背丈にあったものを持ってきましたけど、試着されてみますー?」


「そうですね、試着してサイズが合えばそれで、試着したものは着たまま出ようと思います。」


「はーい、こちら試着室になりますー、終わりましたらお声かけくださいー。」



そう言って店員はカウンターへと戻っていった。



「リリア、着方は分かる?」


「多分大丈夫よ。 」



そう言って試着室に入る蓮也。 ローブを脱ぎ、ふとした事に気付くのであった。



(ローブの下がほとんど裸って、今思うと、へんた…いや、今は何も考えないでおこう。)



白いシャツと黒のズボンに履き替えた蓮也は、ローブをアイテムボックスにしまい、試着室を出る。



「リリアー? 大丈夫かー?」


「大丈夫よー、多分これであってるはず!」



そう言いながら出てきたリリアは、薄い紫のワンピース姿で出てきた。



「よく似合ってるな、リリア。」


「ありがとう、なかなかセンスある店員だったわね!」



試着も問題なく終わり、カウンターへと向かう蓮也とリリア。



「良くお似合いですねー。」


「ありがとね、素敵な服だわ。」


「いえいえー、それではお会計に移りまして、合計で9万8000Gになりますー。」


「はい、これで。」


「毎度ありがとうございましたー。」



服も無事手に入れた2人は、大熊の宿へと向かうのであった。




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