第14話







暫く周りを眺めながらリリアと雑談していると、受付嬢が戻ってきた。



「お待たせ致しました。査定をしておりますので、その間に登録の方を行います。まずはこちらの用紙に必要事項をお書き下さい。」



名前とスキル、その他多くの欄があり、埋めていこうとするが…



(書けない…?)



言語理解のスキルのおかげで、読みは出来るが、どうやら書くことは出来ないらしい。



「すいません、代筆をお願いしても宜しいでしょうか?」


「畏まりました、それではお2人に質問を問いかけますのでお答えください。」



それからいくつかのやり取りをしながら、登録を進めていくのであった。



「必要事項は以上ですね、お疲れ様でした。 最後にギルドの説明をさせて頂きます。まず、禁止事項についてですが、一般人に対する暴力沙汰、犯罪行為、詐称行為などは発覚次第ギルドから追放となります。また、ランク制度を設けてます。Fランクから始まり、1番上がSランクとなります。」



(想像していたのとあまり変わらないな。)



「特典と致しまして、冒険者の方は素材の買取額も上がります。また、ランクに応じてクエストが受けられますので、実績によってランクが上がります。ランクが上がりますと、報酬も上がってくるので是非とも頑張ってください。」



それから細かい説明は暫く続いた。



「以上になります。 ご質問はありますか?」


「いえ、詳しく教えて頂きありがとうございます。」


「それでは、そろそろ査定も終わった頃ですので確認してまいります。少々お待ち下さい。」



そう言ってまた奥に行った受付嬢。 リリアの方を向くと



「ふぁ〜」



可愛らしく欠伸をしていた。



「リリア、静かだと思ったら、ちゃんと聞いてた?」


「ふぇ? え、ええ!勿論よ!」


「はは、退屈だったみたいだな、買取が終わったらご飯にするからちょっと待っててね。」


「ここに来る時にみた、串焼き?って奴が食べたいわ〜」



元気になったリリアと、これからの事を話していると、慌てた様子で受付嬢が戻ってきた。



「お、お待たせしました。」


「いえ、構いませんけど、何かあったんですか?」


「お持ちになられた薬草なんですが…」



ふと、蓮也の頭には、最悪の事態が浮かんだ。



(もしかして、売れないんじゃ…)



「査定の結果、特薬草でした! しかも品質もかなり良く、買取額も上げさせて頂きますので、是非とも冒険者ギルドに降ろしていただけますと幸いです!」



なにやら必死の形相でそう言ってきた受付嬢に気圧されながら、了承の旨を伝える。



「よ、よかったぁ、特薬草はここ最近全く市場に回らなかったので助かります!」


「いえ、それで、いくらになりました?」


「あの量と品質ですので、色を付けまして250万G(ゴールド)になります。」



(さっきの屋台で、串焼き1本100Gとか言ってたから、感覚としては250万円と一緒くらいか。え?250万ンンン!?)



「え、ええ、大丈夫です。 」


「はい、そらではこちら、金貨250枚となっております。ご利用ありがとうございました。」



ニコニコと笑顔で見送ってくれる受付嬢を背に、冒険者ギルドを出たのであった。



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