第4話

「へー、しんちゃん、海へ行くの?凄いわね」

あかね先生は、感心しています。


「これでおらも、シティボーイだぞ」

違うと思います。


「で、いつ行くの?」

「今度の連休だぞ。楽しんできてね」

「おうともだぞ」


海のない内陸県に住む者には、海はとても憧れです。


「海なんて、海なんて・・・」

さくら先生は、しゃがんでへの字をかいています。


「さくら先生どうしたのかしら?」

ななちゃんは、ゆうじくんに尋ねます。

「おそらく、軟派されなかったんだよ」

「まあ、男の人も見抜くわよね」


子供は、正直です。


「・・・すごい・・・」

「いいな。しんちゃん」

寡黙なごーちゃんと、大人しいまさやくん。


子供とは、こうあるべきかもしれません。


この日の幼稚園は、海の話題でもちきりでした。

やはり、海の広さは有名です。


でも、しんちゃん一家が引っ越しの下見とは思っていないようです。

あくまでも、バカンスだと思っています。


帰宅後、早速家族会議です。


「ところで、父ちゃん」

「どうした?しんた」

「父ちゃんは、いくつだっけ?」

「忘れたのか?35歳だ」

「カエルって、そんなに長生きできたっけ?」


痛いところをつきます。


「いいか、しんた」

「何?父ちゃん」

「俺たちは擬人化されているんだ。年齢は人間と同じだよ」

「でも、コスモスはおたまじゃくしだぞ」

「赤ちゃんが、カエルだったらおかしいだろ?」


確かにそうです。


「母ちゃんには、胸がないね」

「私は、カエルだからなくてもいいの」

「擬人化されているのに?」

「余計な事はいいの」


ご都合主義です。


そして、海への下見の日が来ました。


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