39  自我あるスキルPart2来ちゃったよ

《告:熟練度が一定に達した為、【硬化Lv.3】は【硬化Lv.4】へとレベルアップしました》

《熟練度が一定に達した為、【毒根Lv.2】は【毒根Lv.3】へとレベルアップしました》

《熟練度が一定に達した為、【気配察知Lv.3】は【気配察知Lv.4】へとレベルアップしました》

《熟練度が一定に達した為、【空振探知Lv.2】は【空振探知Lv.3】へとレベルアップしました》

《マンドランはLv.2からLv.3へとレベルアップしました》




 ふー、やっと終わった。

 ハエの大群を倒して私はかなり成長した。

 レベルアップをまとめると結構いい成績かもしれない。


 私自身のレベルは2も上がったし、攻撃の主体である硬化と毒根も2上がった。

 探知系は1ずつ、あと魅惑香も1上がってLv.2になったし。

 超余裕だったかと言われたら、実はそうでもないんだけどね。


 圧倒的な数、そして機動力にスピード。

 攻撃と防御がそうでもなかったから、一応私のワンサイドゲームみたいになっていたけど。

 流石に疲れたわ。


 でだ、次の問題だけどハエこれをどう処理しようか。

 食べるには食べるんだけど、量が量だし。

 それについさっき太る程溶解液飲んだから、今からこのハエを食べるのはちょっと。

 過食があるから食べられることには食べられるんだけど、非常食にしようかなと思う。




 それから私は仮の拠点とハエと戦った場所を何往復もした。

 ハエの足を掴み引きずり、拠点に行っては置き、また戻ってはハエの足を掴み——…






 

「ア゛ァァーーーーーーー」


 3日後、私は仰向けで大の字で横になり声にならない長い声を発した。


 ホッントにしんどいわ。

 それに、何が辛いってまだ半分以上も残っているってことよ。

 数が数だし、言う程この拠点と近いってほどでもないし。

 昨日ここに横になってからというもの、一ミリも動けなくなってしまったし。


 辛い、面倒い、怠い。

 あああああああああ。

 辛い、面倒い、怠い。


 ねー森さん、なんか案ない?

 私が動かないでも、考えるだけで思った通りにことが進むような方法。




《解:不明です》




 んー。

 あー、うん。

 これはあれか。

 この倦怠感きっとあれかもしれないな。

 私は病魔に犯されている可能性があるわ。




《告:マスターの体内で病魔の検出はできませんでした》




 ふっ。

 甘いな。

 甘いよ、森さん。

 ネペンテスモルスの溶解液よりも甘い!


 これは、そんな検出? やらなんやで出てくる程やわな病じゃないんだよなぁ。

 数万人規模の地球人を苦しめてきた病なのだから。

 その名も”五月病”!




《……》




 だから私が動けないのは私のせいではないな。

 恐ろしい病気だ。

 連休なんてなかったけど、そうに違いない。




《解:五月病》

《連休後になんとなく体調が悪い、何をやっても集中できないなどの状態を称して五月病と呼びます》

《告:マスターとの記憶をリンクした結果、五月病で有る可能性は0%です》




 いや、そうに違いないよ。

 じゃなきゃ、この怠さは説明できないでしょ?

 



《告:熟練度を一定に達した為、ユニークスキル【森羅万象森さんLv.3】はスキル【読心術Lv.1】を獲得しました》




 やった、新しいスキル………………………………え?

 え、ちょっ——…




《告:マスターの心を読みました》




 え、君スキルだよね?

 スキルがスキル習得ってどゆこと?

 ってか、心読むって何そのスキル。

 しかもましたって、なんで完了形なの?

 私に相談とかそういう感じの話がなかったのはなんで?

 でも、まぁツッコミどころ満載なのはさておき、まだLv.1だし——…




《「怠い、眠い、働きたくない」》

《「そよ風が心地よいこの空気が悪い」》

《「というかポテチがすごい食べたい」》

《「正直、ハエとか食いたくないんですよ」》




 ちょ、ちょっと待って!?

 心を読まんといて!

 というか、言葉にしないで!

 お願いだからやめてくれ!




《熟練度を一定に達した為、ユニークスキル【森羅万象森さんLv.3】はスキル【読心術Lv.1】は【読心術Lv.2】へとレベルアップしました》




 ねぇ、ちょっと?




《熟練度を一定に達した為、ユニークスキル【森羅万象森さんLv.3】はスキル【読心術Lv.2】は【読心術Lv.3】へとレベルアップしました》




 ……。




《熟練度を一定に達した為、ユニークスキル【森羅万象森さんLv.3】はスキル【読心術Lv.3】は【読心術Lv.4】へとレベルアップしました》




 あ、あの、ごめんなさい。

 働くので、もう心を読まないでください。

 私は森さんに恐怖を感じた。




《「言葉にしなきゃいいとか思ってんじゃないだろうな、森さんは」》

《「しかも、熟練度上がるスピード、チートかよ」》

《「はー怖っ」》




 ……た、頼りになるなぁ。

 森さんが私の心を読んでくれれば、きっと色々助けてくれるんだろうなぁ。

 はぁー、よかった!




《……》




 さ、ハエ運びに戻ろっと。

 私は勤勉だからね!


 地面に根が張っていたはずの私の体はピョンと起き上がり、駆け足でハエ運びの続きへと向かっていった。

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