12  私の私による私の為のマイホーム!

 マイホーム、完成しましたーっ!


 いやぁ、嬉しい。

 ものすごく嬉しい!

 この達成感といったら、私の語彙力で形容するのが難しくて歯痒いくらいうれしい!

 とにかく、やっと完成した。


 初めての獲物との戦闘から数日……と言っても、この世界の一日の時間が24時間かどうかも分からないし、洞穴の中じゃ朝か夜かも分からないから、体感だけど。

 それでも時間をかけて作っただけあって、愛着はすごい。

 私の手で作った私のための私だけの夢のマイハウス!




 ではでは、家の説明からしていきましょう!


 まず、安全面。

 この部屋に繋がる通路4つに仕掛けた罠だが、完成と言えるのは未だに右腕を株分けした穴のみである。

 それ以外の4つの穴は剥き出しだが、これはもう仕方ない。

 元からやる気はなかったけど、もし現状のHPで株分けなんかしたら本当に死にかねない。

 無理なものは無理。

 改良の余地なしである。


 ただ、穴が有るのと無いのでは安全面で言うと天と地の差で、それこそある程度の知能ある魔物は穴があったら避けるだろうし、知能が低かったらそのままご飯になってくれている。

 護衛兼食糧庫としてはそれなりに役に立っているのだ。


 だからこそと言っていいのか、私は落とし穴の数を手が空いた時に増やし続けた。

 新設した穴は、罠としてほとんど機能しなかったけど……。


 ここ数日の戦績だと、私が丹精込めて作った罠一期生達は優秀で5,6匹捕らえているのに対して、手の空いている合間に作った罠二期生達は成果を上げていない。

 落ちている形跡はあるんだけどね。


 でも! でもだよ!

 この部屋に通した魔物の数はまだゼロなんです!

 壁を走れる魔物、空を飛べる魔物以外は、この部屋に入ることはできない、と思う!


 ちなみに引っ掛かった獲物は、余っている土をかけて生き埋めにし、数時間放置したのちに掘り返すという方法をとって仕留めてました。

 でも毎回生き埋めにしたりとか作業効率が悪すぎるし、穴を回避できる魔物とかもいるから、その辺の改良は今後やっていくつもり。




 次に住居スペース!

 この空間のど真ん中に埋まる元宿主の亀の甲羅を中心に、徐々に下がっていくアリジゴクのような家にしました。

 理由はなんとなくなのである。


 なんの飾り気のない洞穴で生活するからには、多少面白味があった方が良くない?

 それに、今の私に亀の甲羅を穴から引き上げるだけの力はないし、それなら周りを掘っちゃったほうが早いかなって!

 亀の甲羅は頭と尻部分の合計2箇所の出入り口があって、中には洞穴で見つけた光るキノコも飾っている。


 ただ唯一残念だったのは、私の手に指が存在しないせいで細かい装飾類ができないということ。

 多分だけど、植物だから腕の根を強引に裂いていけば指もどきはできると思うけど、怖いしHP削るだろうしやってない。




 こんな感じで、私のホームは完成した。

 ちなみに、家造りの最中にスキルのレベルも少し上がった。


 【視覚Lv.3】は【視覚Lv.4】へ。

 それと同時に【暗視Lv.2】が【暗視Lv.3】に。

 【身体操作Lv.2】も【身体操作Lv.3】に。

 【穴掘りLv.2】は二つ上がって【穴掘りLv.4】になった。


 なんて言うか、あまりパッとしないスキル達だけど、かなり便利で重宝しているものばかり。

 私はホームである甲羅の中へと入り、腰を下ろした。


 この素晴らしいマイホームに祝福を!

 フハハハ、これが安心感というものか。

 これが安らぎというものか!

 ずっと働いてばっかりだったから、解放感がすごく良きかなだわ。

 さてさて、本当にようやくひと段落って感じだね。


 ふぅ〜。




 じゃあ、そろそろ始めるとしようかな。

 この世界の謎、スキルについての探究を!


 この世界で生活を始めてなんだかんだあって、トータルでもう一月弱くらい経っている。

 森さんの存在の段階で、最低限は理解したからスルーしてたけども、もうスルーする必要はない。

 というか、やることなくて暇だし……。


 まず、スキルっていうのは技に近いものなんだと思う。

 別にスキルがなかろうと、できることにはできる。

 ただ、スキルを習得すれば恩恵の様なものを得られる、といった感覚だ。


 そこで重要になってくるのは”熟練度”ってやつだろう。

 スキル獲得時もレベルアップ時も毎回森さんにアナウンスされているくらいだし。

 そして、その熟練度が一定に達せばポンポンとスキルも習得できてレベルも上がる——と。


 でもなぁ。

 その熟練度の上げ方がよく分からないんだよね、これが。


 【穴掘り】なんかは、掘りまくってたから上がった。

 これは理解できる。

 でもその理屈だと「じゃあ森さんは?」ってなってくる。

 間違いなく、私のよく使うスキル3本に【森羅万象】は入っている。

 でもレベルは全然上がっていない。

 ユニークだから、とか?

 だとしても上がるのが遅すぎる気がする。


 それと、もう一つ。

 この世界で目を覚ました日にスキルポイントってやつを使って【視覚】を得ている。

 このスキルポイントの制度もよくわかんない。


 どんなスキルが習得可能なのか?

 どうやったらポイントが増えるのか?

 【視覚】を入手した時のトリガーはなんだったのか?

 何一つ分かっていない。


 この辺も森さんと地道に調べていくしかなさそうかな。

 どうせ、ご飯がかかるまではやることないしね。

 ということで、次はスキルについて色々と試して行こう!


 オー!




《応:オー(棒)》




 ※暇だった時に私が森さんにこれを教えました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る