013.ゲーム脳の変態は、ご褒美を堪能する!

極寒ごくかん雪景色ゆきげしきの中を空中に浮かぶぱだかの赤ちゃんが、次々にスノーラットとスノーラビットを狩っていく。


狩られた獲物えものは、




最高だなぁ~、レベル上げが出来るなんたまらない!




俺は脳裏地図マインドマップ脳裏情報マインドインフォメーションと雪山を、狩りにきょうじてた。




仮想現実ゲームの世界で【廃神オーバーアウト】と呼ばれる神プレイヤーとして、名をせていたプレイヤーネーム【カルマ】にとって、レベル上げとは快感かいかん同義どうぎだった。




全てのゲームジャンルを網羅もうらプレイしていた【カルマ】は、所謂いわゆるゲームが生活の一部にっているゲーマー達の中でも、ドップリとゲームにまっている【廃人クラーク】と呼ばれる人種を超越ちょうえつした存在。人生全てをゲームにささげた異常アブノーマル進化種プログレスだった。




現実の世界の一秒が【二四秒】に相当する仮想現実の世界で、現実の人生の全てをゲームプレイにささげ、【最大延長マキシマムエクステンション】で現実の世界の一秒が【百十万四千秒】に相当する【アルグリア戦記】の世界で、つねにトップを独走どくそうする。


【アルグリア戦記の公式ホームページプレイヤーランキング】で、二位にトリプルスコアー以上の差を付けるゲームのう変態へんたいは、ゲームプレイヤー達のあこがれでり、まさしく神だった。




従来じゅらいの【創造神の試練】で約半年後に起こる村の襲撃しゅうげきイベントまでは、実質じっしつ生命力(HP)・魔力(MP)・精神力(MSP)・持久力(EP)の状態値しか育成しようが無い。


常人じょうじんにとって約半年間は育成期間では無く、只々ただただ無為むいの時間で苦痛くつうでしかなかった。また、ゲームのう変態へんたいのように精神にダメージを受けても、嬉々ききとして激痛げきつうえ増加する生命力・魔力・精神力・持久力に、未来の自分の姿を想像し愉悦ゆえつする異常者アブノーマルパーソン皆無かいむと言ってほかならない。




襲撃しゅうげきイベントが起きて初めてつんいで匍匐前進はいはいが出来るようにり、出来るようにっても生命力(HP)の数値次第では数秒から数十分で【0】ポイントにり【ゲームオーバー】する未来が待ってるだけだった。


してや封印ふういんる能力値【1】ポイント固定は、無理ゲーシナリオに拍車はくしゃを掛けた。


常人じょうじんにとって鬼畜仕様きちくしようの無理ゲーと呼ばれる【創造神の試練】は、全く面白おもしろみの無い生き地獄じごくのものだった。


意味の無い半年間を過ごし凍死とうしするか追手に殺される無限ループ地獄に心を折られ、心をみ本物の廃人とるクラークプレイヤーの多くは完璧パーフェクション主義者ニストだった。の事実はゲーム規制の社会現象をき起こし、【創造神の試練】は鬼畜無理ゲーシナリオと呼ばれた。そんな禁断きんだんと言って良いシナリオを、十回以上も繰り返すプレイヤーは、


プレイヤーランキングのポイントは、プレイヤーの行動にって採点さいてんされ付与ふよされる。


一度クリアしたシナリオを前回と同様にプレイしても、同じポイントは得られない。初回クリア限定ポイント分で差が付くからだ。


つまり、かく難易度なんいどシナリオごとに新規アバターでプレイしてゲームクリアすれば高得点が狙える。


勿論もちろん、高得点をたたき出すシナリオクリアとは【アルグリア大陸制覇せいは】を意味する。


ゆえ、ランキング二位とトリプルスコアーを付けるカルマに、畏怖いふ憧憬どうけい崇拝すうはいしたプレイヤー達が付けた異名いみょうが、廃人クラークの中の廃人クラーク廃人クラーク達の神の名こそ【廃神オーバーアウト】だった。






過去に初回から数えて鬼畜きちく無理ゲーシナリオのまで、通算つうさん四百七十七回行動不能ゲームオーバーの経験を持つ【カルマ】は、脳内地図マインドマップ参考さんこう効率こうりつよくスノーラットとスノーラビットを狩っていく。






そんな中、もう一人のカルマは暖炉だんろの近くで、カルスとマルナに見守られスヤスヤと眠ってた。






<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>


<<個体名【カルマ】の無属性むぞくせい魔法まほうレベルが上がりました!>>




順調に個体レベルとスキルレベルが上昇していく。




やっぱりスキル【神童しんどうLV1】の効果はすごい!




プレイアバター【カルマ】のウキウキは止まらない。無双プレイが嫌いなのでは無い。ドキドキする気持ちがり感じられる未改造アンカスタマイズプレイが好みなだけだった。


神童しんどうLV1】の効果でる【18歳まで獲得経験値×10倍とする能力スキル】は、個体レベルだけにとどまらずスキルレベルの経験値にまで適応てきおうされる。




現在のスキルレベルこそ【1】レベルだが、れが【2】レベルにれば【18歳まで獲得経験値×20倍とする能力スキル】に効果はね上がる。最大レベル【10】で【18歳まで獲得経験値×100倍とする能力スキル】とけるチートスキルだった。




良いよ! オマエ(レベルのるスキル)、良いよ!!




無属性魔法などの凡庸才能コモンスキルレベルが上がる快感かいかんふるえるカルマだった。


通常つうじょう、プレイヤーネーム【カルマ】は無双プレイをこのまない。ゆえにシナリオクリア特典で獲得かくとくした凡庸才能コモンスキルでさえカスタマイズ時に使用した事は一度も無かった。


理由は『勿体もったいい』からだった。


折角せっかくのキャラアバターの特性をいじるだなんてゲームのう変態へんたいに言わせれば、素材の味をかさないシェフ(料理長)ぐらいおろかなおこないだった。




そんなカルマが自分の楽しみよりも、【創造神の試練】の両親の早世そうせいと仲間の無念むねん運命シナリオを、くつがえなお改変かいへんするために、死蔵しぞうして固有才能ユニークスキル(レベル表示無し★)・特異才能エクストラスキル(レベル表示無し☆)・凡庸才能コモンスキル(レベル表示有り)をも無くカスタマイズした。




全ては両親と仲間のため、カルマは自重をてた。




現在いまのプレイアバター【カルマ】は言うれば、不正行為チートでは無く超不正行為スーパーチートも通り越した埒外不正行為ウルトラチート存在そんざい


埒外不正行為ウルトラチート一端いったんが、母体ぼたい分体ぶんたいに分かれての効率的なレベル上げだった。





<<個体名【カルマ】の個体レベルが上がりました!>>





もうネズミとウサギじゃ効率こうりつが悪いな~、次はキツネかシカかな~クマもいいな~!




そんな風に思いながらもスノーラットとスノーラビット狩りは続いていくが、近くにスノーウルフがると解ると、方向転換ほうこうてんかんして次の獲物えものを探し、【短距離転移ショートワープ】をしながら空中を進んでいく。




しないとな~!




獲物えものをスノーフォックスに切り替え効率的こうりつてきに狩りながらも、空中を進んで行くカルマの目の前に幾度いくどと無く飛び降りた【因縁いんねんの割れ目】が姿を現したのだった。




半年はんとし前倒まえだおしの本番ほんばんか、・・・・・・ヤバいなドキドキする!




従来じゅうらい、【創造神の試練】時の【カルマ】は生後半年ほどで起きる村への襲撃イベントで、両親を亡くし極寒ごくかんの中にほうされる。




其処そこで初めて匍匐前進はいはいが可能になったところから、本当の意味でのゲームが始まる。


ほうされてから約三十分までに【凍死とうしするのが定番デフォルト】で、高難易度シナリオ【創造神への挑戦(創造神の試練の次に高難度なシナリオ)】をクリアした廃人クリーク達が心をポキポキ折られる、・・・・・・【鬼畜きちく儀式ぎしき】。




の儀式をクリア出来る、【る洞窟へ行く事が、今回でも正解かどうかはカルマとしても半年はんとし前倒まえだおしの状況では判断は付かなかった。




本当は洞窟の前で着地してから匍匐前進はいはいで奥へ進んで行き、従来じゅうらいの正解時の状況に少しでも近付けたかった。




しかし、レベル上げしたステータスをもってしても、【運命シナリオの設定】なのか、現状では匍匐前進はいはいが出来なかったのだ。




ただ、今回の行動が不正解だったとしても両親と仲間の運命シナリオ改変かいへんするためには、不正解も正解にする気概きがいのカルマだった。




「あぅあぅあぅあぁぁ~!(あいきゃんふら~い!)」




すでに空中に浮いているカルマが赤ちゃん言語で叫び、割れ目の中に姿を消してった。すでに目をつむっていても攻略可能な氷柱つららアトラクションを軽快けいかいさばいて、目的地の空間に到達する。洞窟は奥へ進んで行く程に、壁があわあおあおく光っていて段々と明るさを増していき、最奥さいおく碧光あおびかりする水晶が、花のように壁と天井に咲いている広間がひろがっている。


其処そこ幾度いくどと無く訪れた場所だった。




そんな中、空中を進んで行く【カルマ】の目の前に、【従来の】が、鎮座ちんざしていた。





  

・・・・・・むっちゃ! くちゃ! 見てるな!






従来じゅうらい、【半年後の】は眠っている状態だったが、半年はんとし前倒まえだおしの状況では、は起きていて【カルマ】を凝視ぎょうししている。


としても、見た目普精霊人ヒューマンの赤ちゃんが空中を【短距離転移ショートワープ】して進んで来るさまは、異様いようのものだったので凝視ぎょうしするしかなかった。






「あぅあぅあぅあぁぁ~♪(・・・・・・いただきます~♪)」






碧光あおびかりする花水晶が咲く神秘空間しんぴくうかんで、空中に浮かぶ【カルマ】がぱだかさけぶ! 




視線しせんの先には、蒼光あおびかりの陽炎かげろうに身を包んでいる、【】が静かにたたずんでたのだった。








To be続きは continuedまた次回で! ・・・・・・

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