第2話 ヤンキー女子に絡まれたらレディースの戦闘に巻き込まれた。

 ただ今柊真白、絶賛ピンチ中!

 抑々なぜこんなにヤンキー女子達に絡まれていたのか回想して見る事にした。


 まずは宇津井商店でお菓子買う、海岸歩く、お菓子食べる。

 誰かに声を掛けられたけど、自分に声を掛けられたものではないと認識し、相手にしない。


 そして絡まれる。

 思い返してみるとそういえばこの子、宇津井商店にもいたっけ、と気付く。


 でも別に同じ商品を取り合うとかイベントなかった。

 そういえば落とした財布を拾ってあげた覚えがあった、それは可愛いキャラクターの描かれた財布。


 件の聖地の元となった18歳未満禁止のゲームエロゲの財布な気がする。

 あの樋上い○る先生の絵柄には見覚えがあった。


 それは彼の父親の部屋で……

 もしかするとヤンキーがキャラ絵の財布を持ってる事をバラされたくないから脅そうとしていたのだろうか。


 いやいや、自称小心者の俺が誰かに言いふらすなんてないのに。

 言いふらして何か利点があるわけでもないのに。

 そう考えていた。


 「だからテメーシカトこいてんじゃぁ……」

 胸倉を掴んでる腕を掴んで、真白は彼女に対して冷静に言った。


 「なんか違うチームのヤンキー女子に囲まれてるよ?」

 回想終了と同時に現実を確認した瞬間だ。


 最初10人くらいに囲まれていたのに、今では増えていて20人くらいになっていた。


  

 「なっ、あれは……小倉の兎忠攻廻うちゅうせかいの奴ら。」

 

 それは枝光にあるスペースワールドという遊園地。訓読みを当て字にってそんなのアリなのだろうか?

 うさぎの忠義で攻撃は廻るって?

 

 もうね、暴走族とかヤンキーとかレディースって中二病の集まりなの?

 そうだよね、絶対。

 

 夜露死苦だってそうだよ。誉炉師供だって良いじゃん。師匠と供にロリを誉めて。

 だって良いじゃん。

 

 というか何の師匠だよ、ロリの師匠って。

 それダメなやつじゃん。


 なんて真白が心の中でツッコミをいていると。


 「ちっお前は無関係だ、あっち行ってろ。」

 掴んでいた腕に力を入れて俺を後方へ促した。


 「じゃ、お言葉に甘えて。」

 真白はバックの体勢のまま、その場から離れていった。

  

 「あ、あいつマジで行きやがった。」



 「おうおう、邪畏誇の恵ぃ。ここで会ったが100年目やけ。きっちりカタつけようジャン。」

 100年まえじゃ親ですら種にも卵にもなってませんがね。


 「けっスペースワールドの七虹ななこぉ。相変わらず輝いてんなぁ、雨が上がった時だけな。」

 彼女、スペースワールドって言ってしまっているし。七虹って虹の事?確かに雨上がりは綺麗に空に架かっているけど…

 そういう問題だろうか?

 真白はその場から離れてはいたけど、声が聞こえる程度の位置で様子を見守っている。


 なぜなら、堤防のせいで少し離れた白野江郵便局側か、反対の青浜方面に行かないと海岸脱出できないためである。


 ※詳しくはなんとかビューでも確認してみてください。


 

 するといきなり乱闘が始まった。

 レディースも暴走族なんだからバイクで決闘じゃないの?というツッコミは誰もしない。

 女同士、殴り合いが始まった。


 もう、一応女子なんだから……

 あ、砂を投げた。

 卑怯……でもないか。戦場では何でも武器にしないといけないからな。

 真白は冷静にその様子を観察していた。


 あ、七虹ちゃんがメリケン装備した。

 それはさすがにダメだ。

 顔を殴ったら一生ものの怪我をしてしまうと思っていた。

 

 真白は駆け出して……彼女、恵の前にバッと立ち塞がった。


 そしてメリケン装備中の拳を……


 パシッ


 流石に掴まなかった。

 やだよ、流血は痛いもん、と思っている。

 拳ではなく腕を掴んでいた。  

   

 「な、テメー女の戦いに男がしゃしゃりでてくんじゃねーよ。」


 「黙れカスッ」

 相手は女の子だが、それは関係なかった。

 

 「メリケンで顔面殴っちゃだめだろう。女の子だぞ。一生残るかもしれないんだぞ。お前一生面倒見れるのか?」

 まだ目が完全に開かないけれど、誰が間に入ったのかは恵も理解出来ていた。


 「部外者は黙ってろっ」

 「あれー?」

 まさかの助けた側が、助けられた側に敵側へ援護射撃を行う?

 

 俺は掴んだ腕をそのままに七虹ちゃんのお腹に蹴りをお見舞いした。


 「うぼあぁ」

 七虹ちゃんもちょっと可愛いかった。

 可愛い顔から出たセリフとは思えなかった。


 真白は振り向いて、恵の顎を持ってくいっと持ち上げる。


 「はっ?」

 恵はとっさの事に理解が追いつかない。


 もう片方の手の指で瞼を開ける。

 その間数十秒。周囲のモブ女子達は戦ってる者半分、このシーンを見てる者半分。


 「なっなっ」

 戸惑い声をあげる恵に。


 「じっとしてろっ。」

 目の奥を確認……ふむ、異常はなさそうである。


 「涙は出そうか?」

 砂利を出しきらないといけないと判断したからだ。


 恵は潤んだ表情でふるふると顔を横に振った。

 

 「そうか。これ、ミネラルウォーターだから目を洗うと良い。砂利で目を傷付けちゃうからな。」


 さっき宇津木商店で買った水を手渡した。


 「じゃな。」

 真白はその場を立ち去ろうとしたが。


 「じゃなじゃねーよ。人に蹴りくれてそのまま帰る気か?」

 兎宙刑事……兎宙攻廻の……七虹ちゃん!

 七虹ちゃんが呼び止めた。


 「あ、まだいたんだ。」


 振り向いたらメリケンじゃない方の拳が真白の頬を捉えた。


 「ぶべらっ」


 真白も大概である。殴られてぶべらって。

 漫☆画○郎先生かってツッコミを受けそうだ。


 「おいオメー大丈夫かっ」

 さっきまでとろ~んと放心していた恵が心配して寄ってくる。


 「はーい、正当防衛いただきました。」

 先に蹴ったのは真白だったはずだが。

 うん。押し切ろう、そう思っていた。


 


☆☆☆☆☆


 数分後、周辺には女子達が地面とキスか仰向けで倒れていた。


 「あ、やっちまった。でも顔は殴ってないしセーフだよな。」

 真白の記憶が定かなら、チェーン持ってる奴とかバット持ってるやつが居たのを覚えている。

 結構痛かった記憶も。

  


 「セーフかどうかは知らないが、あんた一人で全部ぶちのめしたぞ。女とはいえ全員レディースだからな、そこいらの男より強いんだが。」

 恵が冷静に説明してくれた。

 ここに転がる10人近い女子は真白が倒したと。


 男にも女にも容赦しない。それが真の性別平等!

 男女平等と言ってる時点で男を先に持ってきてるから平等ではない。

 ストレイツォに憧れているわけではないが、女だから殴れないとか意味わからない。

 

 だって女は男を殴ってるじゃん?蹴ってるじゃん?

 漫画やドラマでは平気で女が男をなじったり虐めたりしてるじゃん?

 あれは良いのかって話だよな?

 と、真白は常々思っていた。


 


 「と、いうかさっきはた、たす…助けてくッ…コロすぞ。」

 何を照れてるのか、新手のくっころさんか?

 礼を言われるほどの事はしてないよな?

 勝手に首突っ込んだだけだし。

 真白は心でツッコミしていた。



 「まぁ可愛い顔に傷がつかなくて良かったな。」

 その言葉で再び恵が静かになる。

 周囲の仲間達も……あれは呆れか?という視線を送ってくる。


 「じゃぁ今度こそ失礼するわ。」

 今後会う事もないだろうけれど。

 渋めのヤクザ映画よろしく風と共に去って行った。

 その時ポケットから何か落とした事に気付かずに。



 なんて思った事がありました。

 

 まさかすぐ翌日再会するなんて。

 それもあんな花道みたいにされて。


 運命の悪戯は、出逢った時から始まっていた。



――――――――――――――――――――――――


 後書きです。


 第1話で何の聖地かわかりましたよね。


 作品が出て数年してから知りましたが。


 そういえば、主人公まだ名乗ってませんね。


 まぁ何を落としたのかすぐにわかりますけど。


 そこでいやでもわかりますけど。

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