ヤンキー女子は純情可憐(仮)

琉水 魅希

第1話 ヤンキー女子達は突然に。

 柊真白ひいらぎ ましろは近所の宇津井商店にお菓子を買いに来ていた。

 ちょうど3時のおやつがきれていたからだ。


 傍にはバス停と今は後継者不足により閉店しているが、デイリーヤ○ザキ跡地もある。(店舗は残ってる)

 すぐ傍には海岸があり、少し南に行けば卒業した小学校もある。

 何年か前に川の水が溢れ付近一体が床上浸水したことで、無駄に高い堤防が海と川に設置されている。

 昔は海で遊んだり川で遊んだり出来て楽しかったのを覚えている。


 それでもその海へと流れる川からは、小さな蟹が歩いてきて道路を横断している。

 そんな長閑な田舎町。


 真白は戦利品たるお菓子を持ち、海岸へ出ると砂浜に降り少し歩いていた。

 

 ただ、小学校や近くの神社なんかが20年くらい前にエロゲの元ネタに使われた聖地だとかでちょこっとだけ人が増えた時期もあった。

 そんな時はつい鳥の詩を歌いたくなることってあるらしい。


 福岡県北九州市門司区白野江。それがこの辺りの地名である。


 そう、長閑なのである。


 長閑なの……



 「オイテメェシカトぶっこいてるとぶっコロすぞ。」


 柊真白1○歳。こんな名前だけど男の娘ではない、男である、誰かなんと言っても純男。当然女の子が好きだ。恋愛対象は女の子である。


 ごく普通の豊○学園に通う……普通とは言い切れないが。

 ちょっとやんちゃな高校生達も通う高校の2年生。

 昭和中期、甲子園出場を決めていたけど不祥事で辞退した事もあるが、一応伝統ある学校。


 ボクシングの辰吉○一郎だかも通ってたらしい。



 などと説明じみた回想とかをしていると、真白は突然胸倉を掴まれた。

 ふと見てみると、そこにはロングスカートに射殺しそうな気合の入ったメンチ。

 80年代のツッパリ女子が若干入ってるメイク。

 この子、ろくで○しブル○スの千○と真○を足して2で割って色々なものを小さくした感じだ。特にお胸。身長は女子にしては高いんじゃないかな。目線ちょっと下程度だし。

 つまりヤンキー女子。単車もあるしレディースを思わせる。幟もあるからレディースで決定。

 そこには邪畏誇?じゃいこジャイ子か。なるほど……

 と、真白はまた考えてこんでしまったが、この間なんと2秒である。


 「ぉ」

 驚いた時に出る言葉ではないが、これでも驚いている。


 「可愛い……」

 ちょっと化粧は濃いけど。

 ヤンキーなんて怖いだけのものだと思ってたけどごめんなさい。

 喰わず嫌いというか、偏見持ってました。全国のヤンキーのみなさんごめんなさい。 

 心の中で真白は叫んでいた。



 すると胸倉を掴んでいた手の力が抜けてくるのがわかる。


 「へ……?」

 ヤンキー少女からとても可愛い声が聞こえてきた。

 さっきまでの凄んだ勢いはどこへやら。


 胸倉を掴んでいた少女と俺を取り囲むヤンキー少女達と爆音鳴り響く

 周辺のお仲間には聞こえてないみたいだけど……



 「テ、テメー調子こいてっとぶっコロすぞ。」


 顔赤くして凄まれても怖さ半減、威厳も何もない。

 むしろ言葉を噛まなかった事を誉めても良いかもしれない。


 

 ところで彼、柊真白は「なんでヤンキー女子に囲まれてるんだっけ?」と思っていた。 

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