委員長、やりましょう!
▲
数分後、南先輩も駆け足に校舎から出てきた。
国見と違って会釈は無かったが、急いでいる様子から咎める必要は無いと悟る。
「じゃ、私たちも帰るか」
「え?」
「だって、二人でやっても面白くないだろ? それなら来月に持ち越して会合したほうが、楽しいに決まってる」
ポジティブに発言はしてくれているが、口調に寂しさを感じた。
「やりましょう」
「は?」
「二人だけで慰労会、やりましょうよ!」
「いや、二人だけだぞ?」
「好都合です。寧ろ、二人だけのほうが気兼ねなく会話が弾むと思います!」
「そ、そっか……。それなら、十三時に集合ってことで―」
「いいえ、ここでやりましょう!」
「は? 白瀬、なにを言って―」
「委員長だけ、貴重な時間を長い移動に使わせる訳にはいきません。なので、風紀委員室で慰労会を始めましょう!」
「掃除したばかりなのに、汚してしまうかもしれないぞ?」
「そのときは自分が片付けます。それに、科学部のお掃除ロボもあるので、電池さえ取り換えてしまえば問題無しです」
《お前必死だな》
当然!
「……そっか。そこまで言うなら、二人で始めるか」
よっしゃー!
本当はエビ沿って歓喜したかったが、心の中でやっておく。
《スゲェ沿ってんな。もう少しで丸作れるぞ?》
マジで?
今度の休みに挑戦してみよ。
「しかし、飲食物はどうしようか?」
「近くにコンビニがあるので、そこで調達しましょう!」
「風紀委員が買い食いなんて……」
「自分たちが風紀委員であることは紅高生徒以外知りませんって。それに、バレたところで『ボランティア活動に参加したメンバーに差し入れ』って言えば信じてもらえますよ!」
「なるほど……。なら、今回は風紀委員の自覚は無しってことで、食料を調達しに行くか」
「了解です!」
「ただ、ひとつ問題がある」
「なんですか?」
「校舎内に居れるのは十三時までだ。そういう約束だからな」
「あ、それじゃあ早く買ってこないと……」
「ま、慌てる心配は無い。行くまでに何を買うか決めておいて、効率的に進めていけばその分長く楽しめる」
ウィンクした委員長がまた可愛い……。
「じゃ、財布を取ってきて、買い出しに行くか?」
「はい!」
疲労と筋肉痛のダブルサンドで体は悲鳴を上げていたが、委員長と二人っきりで食事が出来ると思うと痛みなんて忘れてしまっていた。
財布を取りに戻って、いざコンビニにレッツゴー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます