人類に悪影響をもたらす機械軍は真っ白に燃え尽きました……




「…………」

「…………」


 正門前に到着した途端、俺と国見は驚愕した。

 校舎が〝めっちゃくちゃ〟綺麗になっていたからだ。

 まだ外観しか認識できないが、光輝いている……ピカピカだッ!


「麗奈さん、白瀬くん。お帰りなさい」


 見惚れていると、正面から船岡と会長が歩いてきた。


「お二人とも、ご苦労様でした」


「ありがとうございます……。会長、コレって……」


 労いの言葉も有り難かったが、今注目すべきはこっちだ。


「はい。科学部のロボットさんたちが、全力を注いでくれました」


 手で示された方に目を向けると、部長特製のロボたちが並んでいた。



 全員真っ白になったポーズで……。



「シンジくうううううううううううううううううううううううううううううううううん!

 タクミくうううううううううううううううううううううううううううううううううん!

 カズマくうううううううううううううううううううううううううううううううううん!

 ヒトシくうううううううううううううううううううううううううううううううううん!

 ソウジくうううううううううううううううううううううううううううううううううん!」


 自然と大声を発してロボたちの元に向かっていた。


「そっか……。学校を綺麗にするのに頑張ってくれたのか……。ありがとう、安らかに眠ってくれ」


「電池切れって最後アナウンス流れてたよ」


 出そうになった涙が引っ込んだ。

 ならあとは部長に回収してもらうか。


「おお! なんだこりゃ!?」


 後方から委員長の声が聞こえ、咄嗟に振り向く。

 首にタオルを巻いており、その姿がまた可愛かった。


 隣の南先輩も、作業中暑かったのか上ジャージを腰に巻き付けている。

 二人の持っているビニール袋の中身も、大量のゴミが溜まっていた。


 じゃあ残りはコハ姉と琴葉か……。



「「お疲れ様です(~)ッ!!!」」



 丁度よく二人が帰ってきた。

 どちらも南先輩と同様、上ジャージを腰に巻き付けている。


 声を荒らげている理由は、表情を見てピンときた。

 息切れを起こし、目が血走っている。


 汗も大量に掻き、コハ姉に至っては……その……シャツが透けて下着が薄く見えていた。

 あ~……紫か。


 そして袋に詰められた大量の雑草たち……なんとなく予想はできた。


「岩沼さん、泉さん。お疲れさまでした。袋の中が真緑ですが、なにかあったのでしょうか?」


「はい!(はぁー……はぁー……)」


 会長の質問に真っ先に琴葉が返事をした。


「ゴミ拾いが終わって、二週目の確認も終えて、予定よりも早く終わってしまったので、近くの公園に寄ったらめっちゃ雑草生えてたので―」


「どちらが多く取れるかぁ、競ってました~!(はぁー……はぁー……)」



 だからってコハ姉…………樹木まで持ってこなくても良いじゃんか。



 根こそぎ持ってきたであろう、根っこが全部露出した状態だった。

 今頃公園は、クレーターが出来たと大騒ぎになってるな。


「じゃあ、みんな戻ってきたことだし、ゴミ袋を校舎裏に運ぶか」


 委員長の呼び掛けで、ゴミ拾い組は校舎裏に向かう。

 学校内のゴミを収集する場所があり、毎朝業者が取りに来てくれる。

 用具室もあり、トングはそこから借りてきた物らしい。


 ……って、あれ?


「白瀬、どうした?」


「トングが……ありません……」

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