真面目な副委員長との昼食
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「では、表に書かれた回収物名と照らし合わせて、各学年クラスごとのボックスに仕分けをしていってください」
「了~解」
風紀委員室で待機していた委員長、南先輩と交代したあと、俺と国見は未だ昼食を取らずに業務を続けていた。
各学年二クラスずつ、合計六箱の透明なプラスチック製ボックスに回収した娯楽品の数々を詰め始める。
これを終わらせたら次は職員室に向かってクラス担当の教師陣の机上に乗せる。
この一連の流れを終えて、俺たちはようやく昼食を取れる時間が確保できるようだ。
まず一学年……は、A組のヤツから回収したゲーム機ひとつだけ。
二学年、これもA組のみ。ただ三学年のと混ざってなにがなんだか分からない。
しかし、国見が事細かく品物の特徴を書き出してくれていたおかげで、仕分けにそう時間は掛からなかった。
問題は三学年だ。
泣き叫び、こちらが名前・所属クラス・回収物を聞く前に袋に詰められたことで、A組なのかB組なのかが分からない。
幸い数が少ないから、預けたあと誰がどの教室に戻ったかを黒瀬の記憶を頼りに仕分けしていく。
ありがとう黒瀬。あのうるさい状況でよく観察しててくれた。
《俺たち見て悲鳴上げられたのが凄く心地よかったから記憶も鮮明に覚えている》
うん、ホント助かった。
本日は一・二・三学年:A組、三学年:B組の合計四ボックス、一人二ボックスずつ持っていき、職員室を訪れる。
各クラス担当の教師たちに回収ボックスを渡し、風紀委員室に戻って俺たち前半部の仕事は幕を閉じた。
「はぁ、終わった。お疲れ様」
「そうですね、お疲れ様です。では、時間も残り僅かですし、昼食を取りましょうか」
「あれ、教室に戻らないのか?」
「今から戻れば余計時間が取られます。ここで取ったほうが効率的に良いです」
そう言うと、国見はお弁当箱を机の中から取り出した。
「そんな小さなので足りるのか?」
見たところ、幼稚園児が使うような小さなサイズだ。
「必要最低限の量で事足ります。それに満腹にしてしまうと、午後の授業中に満足感から眠くなってしまいます」
午後の事も考えてるのか……。
《とにかく腹減ったから、たらふく食べて午後の事を気にしない程に脳内をハッピーにさせると言う俺たちとは考え方が違うな》
まったくだ。
「白石くんはどうするのですか? 教室に戻って食べるのですか?」
「いや、やっぱここで食べるよ。一緒に取って良いか?」
「別に構いませんよ」
「ははは、ありがと」
決して良い雰囲気とは言えない。
食事中も、なんと話を振って良いのか分からなかった。
とにかく残り二十分というのを頭に、弁当の中身をかきこんだ。
国見よりも少し遅れての食事終了となったが、俺が容器を片付け終わるまで待ってくれていた。
昨日であれば俺を置いて教室に戻っていたかもしれない。
心を開き始めたのか、ただの気まぐれか。
いずれにせよ、俺は今日まだ一回も手を出していない。
《それが普通だろ》
お前がそれ言っちゃう?
まぁ取り敢えず、彼女の逆鱗に触れるようなことは現時点でゼロだ。
残りの時間も慎重に行動していこう。
そうすれば国見とも、少しだけ話しやすい間柄になるかもしれない。
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