ら、ラブレター……?
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いたたまれない空気から逃げ出すように教室を出てきた。
新田先輩は良いとして、国見と南先輩の相性は一目瞭然最悪だ。
その内、後輩から叱られる先輩という悲しい光景が見れそうだ。
出来れば見たくないけど。
《で、どうすんだ?》
焦るなって、兼任が許されるか今から聞きに行くんだ。
許されることが一番だが、悲しいけど風紀委員を断らなければならない。
でも校内で大々的に活動している同士、話す機会もあるだろうから新田先輩とも関係を近付けることは可能だろ。
それにもし風紀委員がダメだったとしても【生徒会役員×風紀委員役員】という肩書きがあるカップルって……なんか良くね?
《そこは分からんけど……》
とにかく今から生徒会室に行って兼任が許されるかの確認をしに行こう!
もし許されるのなら明日から早朝の服装検査だ。
寝坊しそうになったら起こしてくれ。
《俺今までお前より早く起きた試しねぇぞ?》
使えねぇな。
《〝あ?》
冗談だ。
スマホの目覚まし機能と時計ダブルセットで必ず五時には起床する。
《まぁ頑張ってくれ》
他人事だと思いやがって……。
黒瀬と暫し会話をしながら三階にある生徒会室の前に到着すると、『十八時には戻ってきます』という留守を示すメモが小さいホワイトボードに書かれ、扉に掛けられていた。
「マジか……」
思わず声に出して落胆してしまった。
現在の時刻は十六時五十分……一時間以上もあるのか……。
どうしようか、図書室はもう直ぐで閉まるし……かといって適当に校内をふらついているところを新田先輩たちにでも見られたら注意を受けるのは目に見えている。
仕方ね、時間まで外の散歩でもしてるか。
黒瀬もそれで良いよな?
《ああ、なんならコンビニで立ち読みでも良いぞ》
ダメだ、それも風紀委員の人たちに見られたら即行入部の話が白紙にされる。
《はいはい、じゃあ散歩だな》
よし、じゃあ行くぞ。
互いの意見を合わせ、一階に降りる。
そして昇降口に到着、丁度よく夕日の光が差し込んでいて眩しい。
「ん?」
外履きを取ろうと手を入れると、妙な感触があった。
取り出してみると、それはピンク色の紙……手紙だった。
【白石白瀬くんへ】
可愛い丸文字で書かれた自身の名前、どうやら間違いじゃなさそうだ。
《なんだラブレターか? 明日地球終わったな》
痛みを感じさせてやろうか?
《ダメージを受けるのはお前だ》
黒瀬とのやり取りは一旦ストップ。封を開け、中身を見る。
二つ折りの紙には、またもや可愛い丸文字で文章が書かれていた。
【★科学部へ来てください。伝えたい事があります★】
「…………」
《お前、今酷いニヤけ顔だぞ……》
黒瀬行くぞ。
《え、マジで?》
この手紙を送ってきてくれた子が待ってるんだぞ。
無視する訳にはいかないッ!
《風紀委員の女はどうすんだ? 惚れてるんだろ? やめるのか?》
違う!
《ならどうして……》
良いか、黒瀬。
この子は俺が来ることを望んで待っているんだ。その希望を絶望させろと言うのか?
怪物生まれるぞ!
《知らんがな》
とにかく科学部へ直行だ!
まぁ本音を言うとラブレター貰った後のドキドキ・シチュエーションを味わいたいためだけに行く訳だけど、この事は黒瀬には内緒にしておこう。
《丸聞こえだぞ》
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