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◇◇
【二千十八年四月一日】
エイプリルフール生まれの明日香君。
お誕生日おめでとう!
(ちなみに、私は明日が誕生日です。)
明日香君は私より一日早く生まれ、一学年上級生でしたが、明日香君は大学を休学したため残念ながら私と同級生になりました。
もしかして『マジか?』って、思ってる?
これはエイプリルフールの嘘ではありません。マジですからね。
でも心配しないで。
明日香君の指が思うように動かなくても、教授の話がちゃんと聞き取れなくても、講義の内容を翌日忘れてしまっても、私が明日香君のノートも取るから大丈夫だよ。
明日香君は十八年間の記憶を事故でなくしてしまいました。私との想い出も、家族との想い出も忘れてしまったけれど、これから楽しい想い出をたくさん作ろうね。
明日香君がまた忘れてしまっても、私のノートやメールを見れば大丈夫。
明日香君の記憶は全部このノートに綴ってあるから、忘れた時はコッソリ読み返せば想い出せるでしょう。
焦らずゆっくりと……
歩調を合わせてゆっくり歩いて行こう。
生きていてくれて、ありがとう。
十九歳の明日香君へ。
I like your smile.
◇◇
彼女は今でもノートに文章を綴り、俺に渡してくれる。
俺が、今日という日を忘れてしまわないように。
――彼女の瞳には……
笑顔の俺が映っている。
――そして……
俺の瞳には……
笑顔の君が……。
――これから歩む未来……。
この恋は運命ではなく、小さな奇跡。
―THE END―
※引き続き、【短編】流れ星の彼方へ ~あなたの瞳に映る世界は、私の瞳に映る世界~ を公開します。
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