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「ううん。私こそちゃんと話さないといけないって思っていたから」
私から達哉君に、話を切り出した。
「毎日メールをくれたのに、返信出来なくてごめんなさい。私ね、達哉君のこと好きだよ。幼なじみだし、ママにも私にも優しくしてくれた」
「希、それって……」
「兄妹みたいに、親しみを感じてる」
「……兄妹か」
達哉君はフーッと溜息を吐いた。
「俺はずっと希を見てきた。子供の頃、おじさんやおばさんにも可愛がってもらった。俺の気持ちは希もわかってくれてると思っていた。もしかして、好きな人でもいるの?」
達哉君はストレートに自分の気持ちを伝えてくれた。
私も素直にならないと……。
「私ね、高校の時から片想いしている人がいるの」
「やっぱりそっか」
「だから……ごめんなさい」
「でも…その人と付き合ってるわけじゃないよね?」
「……うん」
「じゃあ、俺にもまだチャンスはあるんだよね? 俺、希のこと好きだから。幼なじみでもいいから、こうして時々逢ってくれない?」
「えっ……」
達哉君の申し出に、とても困惑した。
達哉君はそんな私を見てにっこり笑った。
「また、希に逢いたいんだ」
達哉君と個人的に逢うのは心苦しい。
明日香君に対する気持ちと、達哉君に想いを寄せる遥や千春に対して申し訳ないという気持ちが複雑に絡み合う。
「……達哉君、あのね、紙飛行機……」
「紙飛行機? ごめん。あれはもう処分したよ。いけなかったかな」
「……処分!? 紙飛行機を広げて見たの!?」
「見てないよ。そのまま捨てたんだ。あれは何だったの?」
「……英語の答案用紙」
「えっ? 答案用紙? どうしてそんなもので紙飛行機を? 希らしくないね」
「……友達にされたの」
「まさか虐めにあってるのか?」
「違うよ! 千春はそんなことしない。ちょっと意地悪されただけ……」
「千春って、もしかして、光鈴女子高の吉田千春さん? 俺のファンクラブを勝手に作って、会長してる子だよね?」
「……はい。仲のいい友達だと思っていたのに、どうして急にあんなふうになってしまったのかわからないの。……ごめんなさい、私、達哉君にこんなこと話すなんて……」
「もしかしたら、希への嫌がらせは、俺のせいかもしれない」
「……えっ?」
「実は、去年、光鈴女子高に俺のファンクラブがあると知って、希が発起人だと勘違いしてさ。会長にコンタクト取ったら全然違ってて。俺、その子に『ファンクラブなんてやめて欲しい』って頼んだんだ。そしたらその子に『亀田君のことが好きなんです。付き合って下さい』って、告白されて。俺には『光鈴女子高に好きな人がいるからムリだよ』と断ったんだよ」
「……まさか、私の名前を?」
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