第2話 おやゆびひめ

愛情という真綿は やさしくて残酷

空の蒼さも 光の眩しさも 教えてくれない

どれだけまどろんでも どれだけ当たり散らしても

いつもいつもオブラートのようにそっと包んでくれる



親切という胡桃の殻は 暖かくて残忍

風の強さも 空気の冷たさも 教えてくれない

どれだけ笑っても どれだけ怒鳴り散らしても

ただただ頑なに守ってくれる騎士のように無言のまま



 だから 私は 旅に出る

 愛情も親切も 否定して 旅に出る

 生きている意味を探しに


 この命は私のもの

 自由は容赦なく私を傷つけるけれど

 ―― それでも 私は 生きている

 

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