【詩集】 蒼色の泡沫の夢

一帆

第1話 にんぎょひめ


乳臭いオートミールの海

もがいてももがいても浮き上がれない

どこにも行けず、離れられず

どれだけ時間が過ぎたのかわからない


すっかり水分を含んだ服はこの身にまとわりつき

幽鬼のように離れない

からからにかわいた喉から零れる声は

悲鳴なのか嘲笑なのかわからない



   優しさも敵意にしか見えなくて

   憎悪も愛情にしか見えなくて

   差し伸べられた手を払う



   ワタシヲ ミテ クダサイ

   ワタシヲ ムシシテ クダサイ

   矛盾する泡沫を抱えて 私は眠りにつく

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