第2話隊長と面通しする
シャトルから降りた私は衣袋を担ぎ上げて司令部にむかったわね。で、司令部に入るとそこではまあ、靴を脱いで机に脚を投げ出しているオッサンがいたわね。まあ、階級章をみると大尉だったので私は着任の挨拶をしていた。
「こちらが第666独立対戦車中隊司令部でありますか。第106工兵中隊より転属となりました。瑞雲 嵐二等兵であります」
とまあ、形式通りの挨拶をすると司令はすぐさま見抜いていたようね。
「ご苦労。私が第666中隊司令の佐藤大輔だ。知っての通りここは寄せ集めの吹き溜まり部隊だ。貴様が過去に何をしたのかそれはわしの知った事じゃあない。問題はこれからの活動だ。違うか?」
「まったくもってその通りであります」
「ふん。まあいい。お前は元工兵だったな。となるとAT、MSを動かせるのか」
「はい。どちらも行けます。ですが実戦ではバトルドレスでの運用がメインでありました」
それを聞いた司令は絶句する。当然だろう。バトルドレスとはほとんど生身の肉体と変わらない装備であるからだ。いわば宇宙船での船外活動用ノーマルスーツに人工筋肉の倍力装置を取り付けた装備であるからだ。そのような装備で第一線で戦闘工兵として活躍していたとなればだね。
そして司令は尋ねる。「ほう、確かカロンでバグの補給コロニー爆破に従事したそうだな。確かフォークの手柄だそうだが・・・」
「司令。あいつは後方で震えてましたね。じっさいには私たちが実行しましたよ。で、功績は奴らのものしくじった場合の罪は私たちに押しつけという風なクズやろうでしたね。で、それだけならまだしも。私たちに俺の女になれと言って侍らせてましたね。で、あたしは拒絶したらレイプされそうになったのでとっさにあったペーパーナイフで奴の首筋にざっくりと刺したわけ。で、即座に憲兵に逮捕されてですよ。ところで司令。生の金色戦傷徽章なんて初めて見ましたよ。司令はなぜ前線に」
私の質問に司令は答える。
「そうだな。冥王星戦線で俺が率いていた部隊が壊滅的な被害を受けたそれはいいのだが、戦線崩壊のきっかけを作った新米少尉の敵前逃亡が原因と聞いてな。で、後方の臨時補給基地で俺が最上位階級だったのでそいつを俺が即座に処刑した。そこまでは良いのだが、そいつが超大物の子息だった。それでいろいろと手を回されておれは最前線さ。ところで君は知ってるか例の絢爛舞踏といわれる存在を」
「絢爛舞踏ですか。確か舞うように死を告げる舞踏の舞手でしたね。はい。いいえ。残念ながら私は知りません」
「だろうな。まあ、都市伝説に近い存在だからな。だが、わしは信じるよ。いや。彼女がいなければおれは今頃軍人墓地に遺体のない存在になっていた。それは間違いないな。彼女がいたからこそ手足は失ったが生き延びることができたのでな」
「そうですか。そして隊長は今でもですね」
「そうだ。おれは死ぬまで大尉止まりだろうな。嵐だったな。お前ATを運用していたときくがもしかしたらスコープドックかそれとも新型のラピードドックか」
「新型の方でした。ですがかなりディチューンされているように見えました」
「だろうな。あれの本来の性能では生身の人間では加速度などに耐えられないらしいがな。その絢爛舞踏の乗騎がそのラピードドックだったそうだ。タ級の首を数体まとめて刈り取ったりヲ級飛行バグなども次々とだったぞ。まあ、あの後どうなったのか俺は知らんが多分人知れずだろうなぁ。俺が言いたいのはとにかく生き延びろ。言いたいのはそれだけだ。ついてこい。これからお前の仲間を紹介する」
そして私は司令の後についていったわね。
そして私が配属されたのは第一小隊だったわね。
「野郎ども。補充の新兵が来たぞ。今度は嬢ちゃんだ丁重に扱え。いずれ母親になる存在だ人類にとって貴重な存在だ」
「隊長。あたしも一応女なんですがね~」
「たしかにそうだな。じゃあ。ケイ。お前が彼女のことをいろいろとおしえてやれ」
「まったく。わかったよ。あんた名前は何というの」
「瑞雲嵐二等兵です。元戦闘工兵してました」
「そうかい。あたしはケイ・サンダース曹長。で隣にいるのが天田史郎伍長さね。
おい。ミゲルあんたも名乗れ」
「お。新兵がくるなんてようこそ地獄の愚連隊へ。俺はミゲル・アイマン一等兵だ。この小隊では無線手をしている。嵐は戦闘工兵といったな。何処にいた」
「カロン戦線、冥王星基地攻略戦、冥王星ハイブ爆破などに従事しました。8割方バトルドレスそれも久遠で全部こなしました」
それを聞いてみなドン引きしていた。
「おいおい。マジかよ。トンデモナイ奴がここに来たことになるぜ」
「あの久遠でかよ」
「あの~。久遠というのはそんなにダメなバトルドレスなのですか」
私の質問に皆は違った意味で驚く
「おいおい。久遠っていったらあれはスペースを取らないという理由で宇宙艦隊やMS、ATパイロット用の耐G、気密スーツとして使われているやつだぞ。人工筋肉量も少なく敏捷性も皆無に近い陸戦にはとても不向きなやつだぞそれでこれほどの活躍って嵐。君は違った意味で化け物だな。おそらく絢爛舞踏というやつらもこんなことなんだろうなぁ」
で、小隊長の言葉に私は言う。
「そうでしょうか。少なくてもわたしはごくごく普通の人間ですがね」
「まあ、そうだろうな。だが、生物というのは危機的状況においてある種特別な個体を生み出すことがあるからな。意外と絢爛舞踏というやつもごくごく普通の人間からうまれるのやもしれないな。さて、君の装備を見繕ってやらんとな。ついてこい」
そして私は整備所へと案内されそこで整備班の連中と面通ししたわね。
「お。補充かい」
「ああ。適当な機材があるか」
「一応な。ただなATのスペアがなくてなお前さん達の分で背一杯なんだな。バトルドレスも久遠の戦車兵仕様しかない。さすがにそれじゃあむりだろう。俺の名前はアストナージだ。この部隊のチーフメカニックをしてる。君の名は」
「ですね。あ。私は瑞雲嵐二等兵です。確かに私も久遠を使ってましたが戦闘工兵仕様でしたので。一応MS操縦も可能でありますが」
「そうか。旧型だがMSが一機あるぜ。まあ、かなり魔改造されているがな」
とまあ、アストナージの言葉にケイは言う。
「じゃあ決まりだな。嵐お前はMSを運用しろ」
ということで私は格納庫にあった旧型のMSに乗ることになったわけだ。
で、私は昇降用ウィンチをつかってコックピットに上りコックピット内部を一通りチェックしテストモードで簡易チェックすると問題なしとでたので私は無言でサムズアップする。どうやら私の愚連隊生活はかなりいいものになりそうだね。
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