第8話 背景描写の足りなさによる物足りなさ

 前回で情景、心理といった描写がなさすぎると書いたのでせっかくだからもう少し書こうかと……。

 心情心理描写についてはよく書いてた思うが背景についてはあまり触れてないかもしれないと思ったので、また思いつくまま書いている。


 さて背景だが、どのジャンルの作品でも必要ではあるのだけれど、特にファンタジー作品においては特に足りないと個人的に思う。


 なぜそう思うのか……。


 考えてみてもほしい。

 例えばバトル系など現代とは違う世界観の漫画だと初連載では多かれ少なかれ世界観を語るナレーション的なものが書かれていると思います。もちろん現代系でもあると思う。その内容は小説に比べれば圧倒的に少ないだろう。

 その内容の量はほぼ私が少ないと思っている作品と同等か、下手をすればそれ以下であると思う。

 だとしたらなぜ漫画にしろ映画、ドラマといったものは少ないナレーションでもその世界に入れるのかと言ったら絵、映像という視覚からの情報を得られるから。

 よってその世界観を十分に得られ、読者、視聴者はさらに想像を膨らませることができ、ほぼほぼそれを観た、読んだ人は『限りなく』似た世界観を共有出来る。


 私のエッセイをここまで読んだ方ならば、何が言いたいか気づいたかと思う。


 現代を舞台としているものならば、すでに我々は今まさにそこで生きているわけだから、限りなく少ない背景であろうと、例えなかったとしても主人公の年齢や学校や会社等のワードで容易く想像ができるからだ。


 ではなぜファンタジーでは物足りないと私は思うのか……。


 それは現代ではない、ありえない世界だから。魔法というものがあれば特にいろいろと想像ができ、人により変わってしまう。

 もし『ワンピース』が小説であったとして背景が書かれておらず簡単な海賊になるだけの説明であったならば、ある人は中世ヨーロッパをイメージするかもしれないし、ある人は中世中東をイメージするかもしれない。ひょっとしたら第1次世界大戦前後のどこかの国かもしれない……。カリブ海の海賊あたりの……。

 しかし絵があることによって、船はガレー船ではなくキャデラックが出てきたぐらいの大航海時代をイメージしやすくなる。

 しかし今のファンタジーは中世あたりをイメージしても前中後期のどこなのか、ヨーロッパなのか中東なのか全くわからないのである。

 かろうじて貴族が出て、爵位が出てくるからヨーロッパなんだろうと。

 あとは魔法ファンタジーの過去の作品があるから、そこから各々勝手に想像させているだけである。


 ではいつものごとく例を挙げたいと思う。


 ファンタジー作品として誰でも知っていて、読まれている作品『ハリーポッター』ならばなろう作品ではなくても読んだ方はたくさんいると思う。この作品ほど現代と異世界を融合させていてる作品はないと思う。

 この作品はラノベの異世界物に限りなく近い作品と言える。ただ自分の作品を出版させるまでに昇華させるため、出版社に持ち込んで添削し続け、一般小説としてのファンタジー作品として書かれているかの違いなだけだ。


 知っての通り舞台はロンドンなわけだが、これは現代であるから仮に背景が少なく書かれていても想像が容易い。しかし作者のローリング氏はイギリスに行ったことがない人でも想像しやすいように背景を細かく書かれている。

 次に異世界のようなホグワーツという舞台だが、学校ではあるがどのような場所でどのような建物か、さらには内装はどのようなものがあるとこなのか事細かく書かれている。

 それはもう読んだ人は似たような想像をしてるはずだ。


 では今のネット小説はどうだろうか?

 比べるものではないのかもしれないが、圧倒的に少ないと言える。

 ただライトノベルというジャンルとして言うならば書きすぎていると言えるかもしれない。

 だがそれでも私は少ないのではないかと思ってしまうのです。

 なぜそう思うのか。

 もしネット小説の多くの作品と同じように、ただ学校へ行ったことしか書かれていなければ、間違いなく大多数が皆が通った学校をイメージしてないだろうか?


 現代もので語るならば、一言にいっても多種多様の学校があるわけで、桜並木があるのか無いのかとか、山の上なのか都市にあるのか、海が見えるのか見えないのかなどがあるはずなのだ。


 ではどうして大事なのかと言えば、何かイベントをやるにしても背景もイメージできるか否かでは、面白いと思うのがとても増すはずだと私は思う。

 というか私は思っている。


 ただそうは言ってもライトノベルの難しいところは細かく書くと本題に入るまでが間延びしてしまい、読者に受けいられないかもしれないということ。

 とてもさじ加減が難しいだろう。


 それでもあるのとないのとでは、作品としての濃厚差は雲泥の差と言える。

 もしもハリーポッターがネット小説にあったとしてもヒットしていたと思う。

 それほど明確に、鮮明に背景を想像し、心情心理描写でより深く共感できてしまう。


 よって私は背景も必要と思っていて、物足りないと思うのです。

 背景は無くても物語は進められるので大事にされていない傾向だが、やっぱり無いよりはあったほうがいいと思う。


 皆さんはどうでしょうか? 背景描写は必要ですか? 不要ですか?

 背景描写が細かいのが好きですか? 簡略されたのが好きですか? はたまた無いのが好きですか?


 好みはそれぞれですが、私は少なくとも、全く無い作品よりかは、背景にも気をつけて書かれている作品がランキングにたくさん載ってて欲しいなと思ってしまいます。

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