第16話 三人称でも間違えやすい場面
三人称で書かれているある作品を読んでいたのだが、たぶん大多数の人が違和感なく読めていたと思うのだが、私は読んでいて「ん?」と違和感がおきた場面があったので話したいと思う。
この話は一人称でも言える事なのだが、一人称でやっているのならばそもそも問題外で、人称を気にして書いてない人、勉強をしてない人、となるので該当する方は過去の人称の話をもう一度読むか、自身で勉強するかして下さい。
もし仮に将来は書籍化したい、コンテストに応募するなどプロになりたいと思っているならば、気をつけたほうがいい事だと思う。今は書く事を慣らすためで、そこまではいかない人ならば、頭の片隅に置いといてもらえたら良いかな程度の話です。
では本題。一見万能な三人称だが、ある場面においてだけ、できない事がある。私はだめだと思っている。それが過去話をしているシーン。
ここで重要なのがその過去話をしている登場人物は『誰なのか?』という事が重要。
少し説明が伝わるか心配だが、三人称であれ一人称であれ、現在の場面での過去話をしているならば胸の内で思ったことは描写は可能だ。三人称ならばその場にいない人物でも神視点として書くことが出来る。
しかし過去話をするにしても回想シーンのようにして、過去を舞台として物語を書いた場合に、現在過去に登場していない人物、または過去で例え登場していたとしてもその人物の胸の内は書けないという点。いくら三人称といえど書けなくなる。少し特殊なケースに該当すると思っている。
書けないとは言ったがある条件を満たせば書けなくも無い。説明するが、伝わるか理解できるか不安だが読んでもらいたい。
例えば過去の出来事として、主人公が付き合う前に友人に背中を押されて付き合えた事を懐かしく話しているシーンで、裏の設定として実は友人は恋人のことを好きだったが友人のために諦めた経緯がある物語、だと想像して欲しい。そのときに「友人は恋人に恋心を抱いていた」と書く事は出来ないという点。
一見三人称なので出来るはずなのだが、この話は何なのかというのが問題。過去話は誰が話しているかという事。
主人公が恋人に語っている事になるので三人称が基本作者視点だった場合
・今までのナレーター=作者
・過去話のナレーター=主人公
となるので書けなくなる。仮に書くことができる条件としては
・その場にその友人がいる場合
・後に友人は語ったなどの文言をつけて主人公ないしヒロイン等が聞いたとした場合
・恋人との過去語りとせず物語上として次章などでナレーターが語る場合
・次章などで友人の視点を描きそこで吐露させる
ぐらいでしょうか? 他にもあるかもしれないが条件がいる。
このように制限が出来てしまう事。これは一人称ならばそもそも出来ないとわかると思うが、もしわからない方は再度言うが、人称について書いてるところを読むか自身で調べて勉強して欲しい。
話しを戻すが、三人称でもこれは一元視点となってしまうので一人称のような事になってしまう特殊なケースだと思う。ようは書いた日記を恋人に見せてるみたいな物なので他人の思考は書けない事。
もしやってしまうと読者は「あれ? 友人この場にいたっけ?」と現実に引き戻され疑問に思い読み返してしまったり、疑問に思いつつ読み物語に熱中しないかもしれないということ。
気付ける読者がどのくらいいるかは不明だが、少なくとも純文学などから入った読者は気づくと思われる。(私だけかもしれないが……そうではないと信じたい)。
私は審査員でもないのでなんとも言えないが、もしこの辺りまで人称に気を使っている作品が、素人でされてると印象に残りやすいと思うし、出来てる人の作品ならば構成やストーリー、設定だけの勝負になると思うので有利じゃないかと思う。
とまぁちょっと高度な話しでした。ちなみにここまでしっかりと人称を初見で出来ているなろう作品は今現在、私は見た事がないです。なので気にしないで良いと言えなくもない。このレベルの話は受賞され担当編集者に言われ書籍化するため原稿を書かされながら身につけるだろうと思う。でも出来れば気にして欲しいとは思ってる。
そもそも、そこまでの事をweb小説にラノベに出版社が求めてるのかは、今まで書籍化された作品を読む限り感じられないのだが……。ちなみに違和感があった作品で書籍化されたのを読んだ事がないので直されているか私には判断できません。されていると信じたい。なので気にして書くか書かないかは貴方次第です。
ただ知っているのと知らないのと、普段気をつけてるのと気をつけてないとでは、そもそも小説としての完成度は違うはず。それは当たり前でしっかりと小説を書こうとしているのだから文章はまとまっているはずです。
今回語った内容は、ある作品を読んで思ったネタですが、比較的しっかりと書けている小説で応援している作家です。人称もしっかりとされています。そんな方でも書いていた表現だったので間違えやすいのかもしれません。なのでwebでは直さないといけないとかではないし、必須ではない。あくまでも豆知識、あくまでも私はこう思ってしまう、という程度にとどめて下さい。
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