月と星達の祭りの夜

のの(まゆたん@病持ちで返信等おくれます

祭りの夜に


にやんこな人々は 近くの森で開催される 月と星のお祭りで集まっていた


人々から少し離れた位置に腰を下ろした三人組の子供達


夜空の満月や星たちは煌めき 魔法で月虹が幾つも出現している

出店もあって 賑やかである


「古代の魔法の王様たちに似せた大きな人形達もあるね~リアああ アシャ」

ナジュナジュは嬉しそうに笑う


「人形達を連れて パレードだよ

あ!花火も上ったよ 二人とも」ナジュナジュ


「だね!ナジュナジュ うふ」リア 


「あの魔法の王は 最後の黒の王・火竜王(サラマンデイア)のアーシュ様


アーシュ様の目つき・・鬼瓦だね(汗)


白の王女のエイル様 あ、水の女王のアルテイシア姫様 


アーシュ様の母親譲りの美貌で知られる異母妹のテイ(テインタル)姫様・・

生前は敵の手下にさせられて 兄とは仇同士になった可哀そうな御姫様


あ!天界に住む 時の番人で

ケンタウロスの女戦士でもある銀の髪のレグルス様!」

指さしながら ナジュナジュ


「あれ わああ・・(あれは?)」アシャアシャ


「あれは歴代の黒の魔法の王様達だね


アーシュ様より前の火竜王、火焔の王 

300年前の先祖になるアジェンダ様


男前だね! エルフのような長い耳に 

火竜王の特有の宝石のような赤い瞳・・


肩よりちょっと長めの黒髪を赤い布で

いつも縛っていたって・・

若くして戦場で悲劇的な死に方をした方だけど・・


アジェンダ様と母親の黒の女王 水の女王エルテア様は

癒しの神殿の創設者でもあったりするよ」リアの解説


「あうっちうわ(あっちは?)」アシャシャ


「んん~アジェンダ様より もっと前の火焔の女王 黒の女王ヴァルジニテ様

おおらかで陽気な性格で 黒の国の救世主!

くせ毛の長い黒髪で 同じく赤い瞳の美人だって


隣は父親の風の王ヴァルーダ様!」


「ああ、あの白い御髭は 白の国の始まりの宗主(初代の支配者)フェアアイン様だ


片腕で淡い金髪のハンサムさんは アーシュ様が人質時代に親友になった

最後の白の宗主で2つの王国の王 片腕の王リアン様! リアン様はエイル様の従兄


アシャの場合は魔法学校でそのうち習うと思うけど


アーシュ様が亡くなった後 アーシュ様の一人息子を自分の跡継ぎにして

2つの王国の王さまになったんだ」感慨深げにリアが言う


「・・そうなんら(そうなんだ)」アシャアシャ


「・・・あれ、人形の中に

アーシュ様によく似た 髪の長い魔法の王様がいる?」ナジュナジュ


「ん~異説の歴史で 

違う別の時空世界にいた もう一人のアーシュ様 違う人生を送ったんだ


敵に囚われて 14年の嘆きの時を送り 

アーシュ様同様 敵を滅ぼしたけど


敵の扱いが悪すぎて 異母妹のテイ様と同じく 病になって 

療養生活を送りながら 30歳半ばで死んだらしい


リアン様達が保護して 最後の黒の王としての生涯を送ったらしいけど


敵が与えた薬で成長を止められて 15歳前後の姿で死んだって


偶然 並列の時空が混乱して知り合って


アーシュ様とは仲がいい双子の兄弟ようだったって御話 


それから 

囚われた髪が長い方のアーシュ様は

予知が得意で 立場は弟ね」


「そうなんだ 初めて知ったよ」ナジュナジュ


「ナジュナジュは音楽学校だから 異説の歴史は習わないと思うよ」リア


「アーシュ様・・」ぽつりとナジュナジュ 

「王しゃまああ 大好きいい♡」アシャアシャ


「・・・ねえ 偶然さあ 

時を渡ってきた千年前の古代の王様のアーシュ様達と知り合って

お菓子祭りで踊ったのが 嘘のようだよ」リア


「ん・・まあまあ リア 

リアがくれた この魔法のリュックのおかげで沢山お弁当入ったよ

うふふ あのね 沢山料理をしてきたよ



お菓子やご馳走も準備してるよ二人とも 

キッシュにミートパイ

サクランボのパイ リンゴのタタン・タルト 

シェパードパイ・・

クランベリーとテインベリーのケーキ かぼちゃのプリン

保温瓶にスープもあるよ 

冷たいジャガイモのスープに

鶏肉とソーセジとセロリ、人参、玉ねぎのコンソメスープ


リンゴとオレンジとサラダ 細切りのきゅうり トマト ソース付


生ハムとモッツァレラチーズと茹で卵

トマト、レタスを挟んだ フランスパンのサンド


パエリア 飲み物にはリンゴの炭酸ジュースとクランベリージュース

オレンジジュースとミルクと紅茶とハーブテイ

オレンジとクランベリーは僕のお手製!


サーモン入りのおにぎり 今 流行っているラピュタ・パン 

ラピュタ・パンのレシピは僕のオリジナルだよ


先に目玉焼きを作り 目玉焼きの下に引く ミニトマトのスライス

きゅうりのスライス 薄切りの玉ねぎ 薄切りのお肉とソーセジやハム


お肉系は同じく軽く焼いて 

それらの具材とバターを塗ったトーストの上にのせて 次に目玉焼き

それをトースターで焼いて出来上がり♡


・・なんでも東洋の物語に目玉焼きの乗ったトーストが出てきて

それが流行っているの 温かい方が美味しいから 温めの魔法をよろしくねリア」


「はいはい 御任せくださいね~☆ 

それにしてもすごいご馳走 有難うナジュナジュ」リア


「わあ~いい」満面の笑みのナジュナジュの妹アシャアシャ


美味しいお弁当に 花火やパレードを見学して楽しむ三人組 


「魔法学校や音楽学校の友達たちに分けるつもりだったけど 

・・暗くて わからないね・・」


キッシュを食べながら ポツリと


「・・僕のキッシュ アーシュ様が好きだったね」ナジュナジュ


「だね! あれ!」 「どうしたの?」


「あの森の木陰 何かおかしい! 黒い稲光が走った」


慌ててリアは駆け寄る ナジュナジュも残りのお弁当をリュックに詰め

アシャアシャを連れて一緒に駆け寄る


「何あれ!」リアたちが叫ぶ


木々の茂みの中にあるものは 

大きな黒い塊と 

そして黒の塊の中に光が幾つも走っている・・


ゆっくりと黒い塊は大きくなり 黒い化け物が口を開けて牙を見せながら

沢山出てくる  


黒い化けものは すぐにリアやナジュナジュ達の元に駈け寄り

ゴムのように 絡みついた

「きゃああ!」 「うわああ」 「ふなにやああん!!!」それぞれの悲鳴


「まずい!!」少年の声 聞き覚えのある声


え!!驚く三人


シューンン! フードを被った少年の銀色の剣が素早く動き

 あっと言う間に 木っ端みじんになる黒い化け物


「・・大丈夫か?」フードがパラリと落ち 長い黒髪の少年が立っている


服はリアたちと同じような白いシャツに 黒のズボン


耳はエルフのような長い耳で 少し吊り上がり気味の赤い瞳と金色の瞳が輝く

顔立ちはアーシュそのままだが 

髪型が違う 何かアーシュのような強い覇気でなく

どこか寂し気で優し気だった

瞳も鬼瓦ほど吊り上がってない・・。

「アーシュ様!!」「王しゃまああ!」半泣きで三人は叫ぶ


「・・お前 誰?」きょとんとしてリアに問いかけるアーシュ


「・・・こっちはナジュナジュか? あ、小さいアシャだ」目をぱちくりさせて言う


「そっちはすんだか?アーシュ殿、ん?」髪を縛ったハンサムな青年

着ている衣装は古代の魔法の王の時代のものである


「ああ、済みましたよアジェンダ様」とアーシュの一言


「・・・この者達は・・ナジュナジュとアシャじゃないか?

アシャアシャは随分と可愛い女の子だったのだな ふふ」微笑んで笑うアジェンダ



「あ、あ、あアジェンダ?って 火竜王の一人アジェンダ様!!」リアが慌てて言う


「そうだが?・・」ニコニコと笑っている


「こっちもですアジェンダ様!アーシュ

 時空の修復も済んだし そろそろ帰還しましょう」向こうから少年の声


「あ、リアに小さいアシャにナジュナジュか? 祭りに来ていたのか?」


そこに立っているのは 前に会った少年の姿の魔法の王であるアーシュ

衣装はアジェンダと同じく古代のもの 金と赤の瞳の持ち主で鬼瓦の目つきである


丁度 偶然なのか もう一人の髪の長いアーシュとほぼ同じ年齢

少し 髪の短いアーシュの方が背が高い


「そうらしい 今 時空の亀裂に潜む化け物達から助けた処だ」

もう一人の髪の長いアーシュ


「・・・アジェンダ様と僕らの知っているアーシュ様は幽体だ

もう一人の長い髪のアーシュ様は生きている・・」ぽつりと呟くリア


「ん、よくわかったな 流石は魔法使いの優秀な弟子だ

わん子とは同じ魔法使いの弟子でも出来が違う くすくすっ」笑うアーシュ達


「俺達は 時間的には死後 千年以上たっている


魔力が強いから 天界の仕事を頼まれてるんだ

 

最近、あちらこちらの時間・・時代に

時空にひずみが生まれ 亀裂が多発して

黒い化け物どもが人を襲ったりしているので 奴らを退治したり

修復したりしているんだ リア」


「・・・本来 魔法の王達は魔力が強いから

天界に留め置かれているが、俺はある事情で 転生した


だから生身という訳だ」髪の長いアーシュ


「あ!!異説のもう一人のアーシュ様」ナジュナジュ


「・・そうだな」「ああ」


よく見ると髪の長いアーシュは風の魔法で少し身体が浮かんでいる


「え・・風の魔法?」リア 

「ああ、俺は足が少々悪くて 戦いに必要な素早い動きをする為だ」

ゆっくりと地に降り立つ


そこに別の二人の人物が駆け寄って来た


「僕のアーシュ様 皆さん帰りますよ あ!!」

ナジュナジュやアシャアシャに似ている少年

黒髪、青い瞳 黒猫耳と尻尾の美形である 服装はリア達と同じ


「ああ!リアにナジュナジュ姉さん!!!きゃああ昔の・・」

胸の大きな美少女・・黒髪 青い瞳で 黒猫耳と尻尾つき

古代の衣装である 髪に赤いリボン 


顔は・・アシャアシャそっくり 髪型も・・


二人はナジュナジュに抱き着き 顔をすりすりしている


「え?」「ええ?」


「ええと 女の子の方は幽体 男の子の方は生身」

冷や汗をかきつつリア


「そうそう・・うふふ」にやんこな少年 

「くふふん」アシャそっくりのにやんこな少女


べったり離れそうにない


「こらアラシャに アシャ!帰る時間だぞ!

ナジュナジュが困っているだろうが」

二人のアーシュの小言


「はああ~い」アラシャと呼ばれた少年

「はあ~いん ぐふっ」アシャ(?)少女の方


猫かぶりな二人は にこやかに笑う


「あの・・・」ナジュナジュ


「うふふ・・私は成長したアシャアシャよん♪ 

私の時間では寿命を終えて死んで天界入りしたの

こっちのアラシャは・・髪の長い方のアーシュ様の関係者ってとこでえ


別時空のナジュナジュ姉さんの一人息子よん ぐふふ」


「へ???」 

驚き目を見開くリアとナジュナジュ 

きょとんとしているアシャアシャ


「あ・・あの リア また魔法のリュックくれるかな?」


「え・・いいけど」リア


「お帰りになられるなら これをどうぞ!


僕が作ったキッシュとか 沢山料理とかがあります


お好きなリンゴのタタン・タルトとかも」

ナジュナジュが慌ててリュックを差し出す


「いいのか?すまないなナジュナジュ」嬉しそうに笑う 髪の短いアーシュ


「有難う 感謝する」アジェンダ 

「わあい!嬉しい 有難う」アラシャとアシャアシャも嬉しそうだ


「こちらのナジュナジュは料理が得意だと聞いている 楽しみだ 有難う」

髪の長いアーシュ


「別時空の僕は 料理は?」ナジュナジュ


「・・・こちらでは 

王女様として生まれたから 料理はしなかったな」


「え!」 

「にやんこ王国の王女様 ナジュナジュ姫とアシャアシャ姫・・うふふ」


「だから アラシャは王様 ふふ」


「じゃあね もう一人のナジュナジュお母さま うふ♡」

ナジュナジュの頬にキスして 姿を消すアラシャ

 

「じゃあ また・・天界では あまり会えないの

嬉しいわ 昔のアシャに・・ついでにリア! くすっ」

アシャもナジュナジュの頬にキスして

昔の自分の頭をなでて 

魔法で出したキャンデイの子袋を渡して姿を消す


「え!」頬を赤くするナジュナジュ 

アシャアシャは嬉しそうにキャンデイを早速 食べている


「・・・僕、ついで?」口元を歪めるリア


「じゃあ 俺からも・・お持ち帰り用の魔法の袋付き」

髪の短いアーシュは魔法でお菓子の山を出す


「・・俺からも」髪の長いアーシュも同じく


「・・・では私は果実にしようか」

アジェンダは果実の山を魔法で出した



「ええ!!こんなに」リアとナジュナジュ


「うわあいいい」満面の笑みのアシャアシャ


「ふふ・・じゃあな」


髪の短いアーシュが愛し気にアシャアシャの頭を撫でて

ナジュナジュの手に軽くキスして姿を消す


リアには軽く微笑んだ


アジェンダは微笑んで姿が消した


一人残った

髪の長いアーシュは 艶やかな笑みを浮かべている

長い流れる綺麗な黒髪が 夜風に揺れていた


幾ばくか リア達が知ってるアーシュより 目元が優しく


月明りの下 整った顔立ちで綺麗な少女のようにも見てとれる


ドキンとするリアにナジュナジュ アシャも頬が何故か赤い


「まだ祭りの最中 楽しんでおいで・・」アーシュ


アシャとリアの頭を撫でた後


騎士のように腰を下ろしてから ナジュナジュの手を取り

手にキス それから頬と唇に軽くキスしてから

姿を消した



「え・・えええええっ 唇うう!!!」ナジュナジュは真っ赤


「あああああ・・ナジュナジュうううう」リア


きゃはははっ・・・アシャアシャは笑っている



・・実は髪の長いアーシュにとって

別時空のにやんこ国の王女ナジュナジュは恋人だったとか

そういう御話は 当然、知らない三人


何はともあれ まだ月と星達の祭りは続いていた


FIN

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