第46話 記念日
今日は記念日、りょうたと付き合い始めて1ヶ月の記念日…
付き合ってから私とりょうたは、喧嘩したあの時間を除いてずっと一緒にいる。正直言って、付き合ってから1ヶ月も経ったという実感はない。それに、ずっとりょうたと一緒にいるから、お互いにサプライズでプレゼントとかそういうことがすごくやり難い。
だけど、私は、お母さんに頼んで私が選んだプレゼントを代理で買ってきてもらった。りょうたは…何かしてくれるのかな…と楽しみな気持ちになって、朝はりょうたよりも早く目を覚ましていた。
「りょうたの寝顔、かわいいなぁ…」
幸せそうに眠っている。私の体を抱き枕のように抱きしめてぐっすりと眠るりょうたをこうして見るのは初めてかもしれない。たまには、悪くない。たまには早起きしようかな。と言う気持ちになりながら、私はりょうたの体を揺らす。
「りょうた、朝ですよー起きて!」
りょうたは、朝起きて1番に、私になんて言ってくれるのだろう…
「ん…あれ、春ちゃん…珍しいね。春ちゃんの方が早起きなんて……」
「えへへ。たまには、ね。りょうたの寝顔、かわいかったよ。たまには早起きも悪くないねぇ」
「何それ、恥ずかしいなぁ…」
「えへへ。まあ、せっかくの特別な日だから…気づいたら早起きしてた…」
「ん?今日何かあったっけ?」
眠たそうに欠伸しながら言うりょうたを私はありえない。と言うような表情で見つめる。
「え?どうしたの?」
「ばか。もう知らん!」
そう言って私は着替えを持って今は誰もいないお兄ちゃんの部屋に行き着替えを済ませてリビングに向かう。
「あら、春、珍しいわね。頼まれてたもの、リビングの棚に置いてあるわよ」
「要らない。お母さん適当に使っていいよ。私、もう学校行くから」
キッチンでお母さんからトーストを奪って口に咥えて私は家を出る。お母さんはまた喧嘩したの?と言うように呆れた表情をしていた。別に喧嘩はしてないもん。大切な日を忘れてたりょうたが悪いもん。
私は1人で学校に向かい、音楽室に入る。音楽室では、何人かの吹奏楽部員が、自主練をしていて、私が1人で朝練に来たのを見て、「朝から喧嘩した?」とか散々噂されていて、楽器も吹く気になれなくなった。
別に喧嘩してないし。りょうたがばかなのが悪いの。私は悪くない。絶対、悪くない。りょうたが謝ってくるまで絶対許さん。そう思いながら、やけくそ気味に私はフルートを吹きまくった。
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