第44話 喧嘩した日の夜





「今日はもう離さないから…」


りょうたと仲直りして、家に帰り順番にお風呂に入って、りょうたに髪を乾かしてもらった後、私はギュッとりょうたを抱きしめて言う。こんなこと面と向かって言うのはすごく恥ずかしかったけど、りょうたと離れていたたった数時間の辛さを考えるとこれくらいどうってことない。


むしろ、もう、あんな辛い時間を味わいたくないから、私はりょうたと一緒にいたい。と明確な意思表示をしておきたいと言う思いがあった。


「僕も今日は春ちゃんから離れたくない」


そう言ってりょうたは私をぎゅっと抱きしめ返してくれる。


「ちょっと、力入れすぎ…痛い…」

「あ、ごめん」


割と思いっきり抱きしめられて痛かった私が言うと、りょうたは慌てて私を離した。


「ばか。抱きしめるのはやめないで」

「あ、うん」


りょうたは再び私を抱きしめる。私が心地よく感じる強さで……


それから数時間、日付けが変わるくらいの時間まで私とりょうたはお互いを抱きしめあって離さなかった。まるで、離れ離れになっていた数時間分の失われた愛情を補充するように、何をするわけでもなく、私とりょうたはお互いに抱きしめあった。


「ちょっ、りょうた!?」


日付けが変わるくらいの時間、ベッドの上で座りながら抱きしめあっていたら、りょうたが私にもたれかかってきた。


「寝てるし……」


普段なら寝てる時間だから仕方ないか、と思いながら私はそのままりょうたを寝かしつける。そして私はりょうたの横に寝転び私はりょうたを抱きしめながらりょうたの頭を撫でる。眠っているりょうたの寝顔は可愛くて、つい、いたずらしたくなっちゃう。


私は黙ってりょうたの頬にキスをする。そのあと、唇にキスする。なんか、キス魔みたいなことをしている気がするが、今日、寂しい想いをしたから、しっかりその分、幸せを感じたかった。


たぶん、今までで1番長い時間、私はりょうたと唇を重ね続けた。りょうたが寝てる時に勝手なことして申し訳ないと思うが、まあ、寝落ちしたりょうたが悪い。


幸せを感じた後、私はりょうたを抱き枕扱いしながらぐっすり眠った。





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