第43話 仲直り





りょうたと目を合わせて、私は無意識のうちにりょうたの方に歩いてりょうたに手を伸ばそうとしていた。でも、意固地になっていた私は途中で踏みとどまってりょうたに背を向けて歩き出す。


「ばか…」


気づいたら私は泣きながらそう呟いていた。素直になれない自分を、本当に馬鹿だと思った。


何度も、振り向いてりょうたと仲直りしたい。って思った。でも、私は、素直になれないでいた。そんな自分の性格が本当に嫌になる。涙が止まらなかった。


「春ちゃん、泣かないで」


そう言いながらりょうたは私を背後からギュッと抱きしめてくれた。


「泣いてないし……」

「そっか。ごめん…」

「な、泣いてるのはりょうたの方…でしょ……」

「うん」


りょうたに抱きしめられて頭を少し後ろに向けるとりょうたは泣いていた。私も、泣いているのに強がりな私は泣いているのを認めなかった。私のそういうところが、私は嫌いだ。


「春ちゃん、さっきはごめんね」

「………わ、私の方こそごめん」


私は振り向いてりょうたをぎゅっと抱きしめた。


「私、りょうたがいないとダメだ。側にりょうたがいてくれなくて、ずっと寂しくて、りょうたと離れて改めてりょうたの大切さを知った…ごめんなさい……」

「僕も、春ちゃんが側にいてくれなくて辛かった。本当にごめんなさい」


私とりょうたはお互い泣きながらお互いを抱きしめあっていた。もう、私たち、完全にバカップルだわ。結局、私もりょうたも2人でいないと耐えられない体になってしまっていた。


「「好き」」


お互い気づいたらそう言っていた。それ以外に、仲直りに必要な言葉はなかった。私もりょうたも、揉めたことなんてどうでもいいくらい、お互いがお互いを好きだと、改めて実感したから。


その後、私はりょうたの家に行き、りょうたのお泊まり用の荷物を持って家に帰る。家に帰るとお母さんに「やっぱり2人で帰って来た〜」とニヤニヤして言われてめっちゃ恥ずかしかった。





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