第38話 記念写真
「りょうた、記念写真撮ってもらおうよ!」
「う、うん。いいね。そうしよう」
イルカの可愛らしい置物が置かれた広場で係の人が記念写真を撮ってくれているのを見て私とりょうたは少しだけ列に並んで記念写真を撮ってもらうことにした。
「はい、では次の方…お、カップルですかぁ?」
「え、あ、はい…」
「若いのにいいですね〜じゃあ、いちゃいちゃ風に撮ってあげますねぇ」
「お、お願いします」
ノリのいいお兄さんにりょうたはスマホを渡した。
「はーい。2人とももう少し近づいてくださーい」
「「え…」」
も、もう少しって…りょうたと肩あたっちゃうんですけど…お兄さんにスマホを渡した後、私とりょうたはイルカの置物の前に2人で並んで立った。割とギリギリまで近づいていたのだが…
「ほらほらもっとくっついて」
戸惑う私とりょうたを見てニヤニヤしながらお兄さんは私とりょうたに言う。私とりょうたの顔は真っ赤になっていてその様子を見ていた人たちがクスリと笑うのが本当に恥ずかしかった。
「あの、これ以上くっついたらイルカさんの顔が…」
「いいから!」
いやいや、よくないでしょ。イルカさんの顔写ってない記念写真ってただのツーショットやんけ!
まあ、でも、反論しても聞き入れてもらえない様子だったので私はりょうたと肩が引っ付くくらいに近づいた。
「「っ…」」
私もりょうたも顔を真っ赤にしながらピースをして写真を撮ってもらう。
「末永くお幸せに〜」
お兄さんからスマホを返してもらう時、そんなことを言われて恥ずかしかった。りょうたとスマホを確認して見ると私とりょうたが引っ付く前から結構写真を撮ってくれていた。りょうたは迷うことなく全てをお気に入りに登録している。かわいいなぁ。うわぁ…しかも最後に撮った写真待ち受けにしてやがる…恥ずかしいじゃん。やめてよ……
「気に入ったの?」
「うん!」
りょうたは迷うことなく答えた。私とりょうたの思い出のページがまた1枚刻まれた。
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