第36話 水族館デート





「ねー、私、ペンギン見たい!」


喫茶店を出て、私はりょうたに言う。りょうたは笑顔でいいよ。と言ってくれて私と手を繋いでくれる。


「りょうた、私と手を繋いで恥ずかしくない?」

「全然恥ずかしくないよ」

「じゃあ……」


私はりょうたから手を離す。りょうたは一瞬悲しそうな表情をした。かわいい。安心して、手を繋いでたらできないことするだけだから……


「え?春ちゃん!?」

「こっちの方が恋人みたいでしょ?」


顔を赤くしながら慌てるりょうたを見てニヤニヤしながら私は言う。


「いこっ…」

「うん」


私はりょうたと腕を組んで歩き始める。りょうたの肩に頭を当ててみたりしながら歩いているとりょうたの顔がどんどん赤くなっていてかわいい。


「ねー、りょうた。ペンギンと写真撮ってよ」

「あ、うん。わかった」


ペンギンを見ながら私はりょうたに言い、りょうたから腕を離す。りょうたはすごく残念そうな表情をしながらスマホのカメラを私に向ける。そんな表情しなくても後でまた腕組んであげるのに。


「撮れた?」

「う、うん。かわいく撮れたよ」


りょうたが私にスマホの画面を見せてくれる。私の背景にはいい感じにペンギンを写してくれていた。


「りょうたも一緒に写ろうよ。ほら、こっちきて」


私はりょうたの腕を掴んでペンギンに近づいてペンギンを上手いこと背景に写るようにしてりょうたと肩を引っ付けて写真を撮る。


「りょうた、顔真っ赤だよー」


撮れた写真を見ながら私は笑う。写真を見て笑う私を見てりょうたの顔がさらに赤くなってほんとうにかわいいよ。


「は、春ちゃんだって…いつもより少しだけ顔赤いんじゃない?」

「ちょ、ちょっと、私の顔アップにしないでよ」


りょうたが撮った写真を拡大して私の顔を目一杯表示して私は恥ずかしくなり慌ててスマホの画面を消した。


「春ちゃん顔真っ赤だよー」

「こ、これは違うから!」

「はいはい。そうですねー」


めっちゃニヤニヤしながら私を見つめるりょうたを軽く何回か叩くとりょうたは笑いながら痛いーと言う。


「春ちゃんはかわいいなぁ」

「うるさいばか」


周りから見たら完全にバカップルなやり取りをしながら私たちはペンギンを見たりするのを楽しんでいた。





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