第33話 デート。






バス停まで、私とりょうたを手を繋いで一緒に歩く。バスに乗り、2人用の椅子に座ってからも私とりょうたは手を離さなかった。


バスから降りて電車に乗り、しばらくすると目的地である水族館がある駅に到着する。私とりょうたは2人で電車から降りて私とりょうたは再び並んで歩き始める。


「思ったより人少ないね」

「そうだね。でも、人少ない方がゆっくりできていいじゃん」

「たしかに、春ちゃんの言う通りだね」


休日だけど人が少ないのはかなりラッキーな気がする。水族館の受付でチケットを買い、私とりょうたは2人で水族館に入る。




「イルカ、かわいいね」

「そうだね。でも、春ちゃんの方がかわいいよ」

「っっ…」


かわいいイルカを見ながら私がりょうたに声をかけるとりょうたはまた嬉しいことを言ってくれる。私の方がかわいい。かわいい…かぁ……♡


「顔真っ赤だけど大丈夫?」

「だ、大丈夫……」

「そっか、ならよかった。もうすぐイルカショーがあるみたいだけど見る?」

「うん。見たい」

「じゃあ、行こっか」

「う、うん……」


りょうたに手を引かれて私は歩き始める。きっと、私の顔はかなり真っ赤になっているだろう。


「どうする?前の方の席空いてるけど前の方に座る?」

「うーん。あまり服濡れちゃうと恥ずかしいし…ちょっと後ろの方がいいかなぁ」

「わかった。じゃあ、ここら辺でいいかな」

「うん」


イルカショーのステージの真ん中ら辺の座席に座ってイルカショーが始まるのを待つ。


「春ちゃん、疲れてない?あ、喉渇いたりしてない?始まるまで時間かかるし、よかったら飲み物買って来るけどどうする?」

「あ、ううん。大丈夫、ありがと。気を遣ってくれて」


素直に嬉しいよね。こうやって私に気を遣ってくれると私、本当にりょうたに大切にしてもらっていることを感じられて幸せだ。


「りょうた、ほら、早く隣座ってよ。たしかに、ちょっと喉渇いてるけどさ、りょうたと1秒でも長く一緒にいたい。イルカショー終わったらさ、少しゆっくりジュースでも飲もうよ」


もうすぐイルカショーが始まるタイミングで、私とりょうたが席を立つと、せっかく取れた席が他の人に取られてしまうかもしれない。だから、どちらか片方が買いに行くことになるけど、やっぱり、せっかくのデートだから離れ離れになりたくなかった。


ずっと、理由を付けてりょうたと一緒にいて、りょうたを離そうとしない私は…束縛が強いのかな……


「そっか、わかった。僕も春ちゃんから離れたくないからそっちの方がいいや」


りょうたが、笑顔で言ってくれるのを見て考えすぎかな。と思えた。せっかくのデートだし、こんなこと考えずに楽しもう。




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