第31話 当日の朝






「春ちゃん、起きて!」

「ん…りょうた…」


テストの結果が出た日、お祝いにお泊まりをした日からも、私とりょうたは毎日お泊まりを繰り返していた。あの日からもなんだかんだ理由をつけて、お互いに離れなかった。離れられなかった。お互いがお互いを大好きだから。


そうやってずっといる日が数日続いた今日、私とりょうたは2回目のデートに出かける。


「ん…りょうた、おはよ……」

「おはよ。今日はちゃんと起きてくれたね」

「りょうたがちゃんと起こしてくれたから…」

「いつもちゃんと起こしてるんだけどなぁ」


今日をすごく楽しみにしていたから。とは、恥ずかしくて言えないよ。


「いいから…さっさと準備しよ……りょうた、悪いけど今朝だけは家の縁側かどこかで私が着替えるの待っててくれない?」

「え、あ、うん。わかった」

「なぁに?いつもみたいに私が着替えてるところ見れなくて残念なの?」

「べ、別にいつも見てないから…残念じゃないし……」


りょうたが顔を真っ赤にしながら言う。いつも私が着替えている時にチラチラこっちを見てるの知ってるからね。


「ほらほら、さっさと出てって、後で迎えに行くから」


着替えが終わったりょうたを私の部屋から追い出して、私はクローゼットを開ける。今日は、気合いを入れる。今日のために用意した(機会がなくてなかなか着られなかった)新品の服でりょうたにかわいい。って言ってもらうんだから。


「ちょっとだけ…お化粧してみようかな……」


以前、りょうたの姉の春香ちゃんに教えてもらった方法で軽くお化粧することにする。春香ちゃんは普段からほとんどすっぴんか薄化粧だから、あまり詳しいこと教えてくれなかったけど、独学でも勉強したりしていた。


まあ、でも、まだ中学生だから…軽く薄い口紅塗ったりファンデをつけたりするくらいだ……ちょっと思い切って二重にしてみたりする?でも、化粧しすぎてめちゃくちゃ気合い入れてるってりょうたに思われたらちょっと恥ずかしいし、普段薄化粧の春香ちゃんばかり見ていたりょうたは化粧しすぎる子嫌いだったりするかもしれないからほどほどにしておくか。


軽くお化粧をした後は新品のワンピースを着て、イヤリングを身につける。靴下は…どうしよう。ワンピースのスカート丈が割と短めだから…ニーソにするか普通に短めのにするか…ワンピースだし、麦わら帽子被って裸足のサンダルもありかな……どうしよう。悩む。


「春〜りょうたくん待たせすぎよ。かわいそうだから早くしてあげなさい」

「ちょっと。ノックくらいしてよ。まあ、いいや。服装選び手伝って〜」


お母さんに泣きつくとお母さんはため息を吐きながら私の着替えを手伝ってくれた。

りょうた…かわいい。って言ってくれるかな…





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