第30話 お願い。





「りょうた。よく頑張ったね。すごいじゃん」


帰り道、私とりょうたはようやく2人きりになれたので私は改めてりょうたにおめでとう。と伝える。


「ご褒美に今日はなんでも言うこと聞いてあげちゃおうかなぁ…」

「じゃあ、1つだけ言うこと聞いて」

「お?何?」


珍しくりょうたが即答したことがちょっと意外だった。普段なら何をお願いするか悩んだりするはずなのに…何をお願いされるのだろう。と、ドキドキする。りょうたに限って変なお願いはしないだろうけど……まあ、でも、私はりょうたのお願いなら、なんでも聞いてあげたい。


「春ちゃんのお願いを聞かせて」

「え…」


りょうたは爽やかな笑顔で私に尋ねる。私は、一瞬困惑した。


「僕の成績上がったのは春ちゃんのおかげだし、春ちゃんにお礼がしたい。だから、春ちゃんのお願い聞かせてよ」


………嬉しいこと言ってくれるなぁ。別に見返りが欲しくてりょうたに勉強教えたりしたわけじゃないのになぁ。まあ、でも、せっかくだから……お願い。聞いてもらおうかなぁ。


「デート…したい……」

「じゃあ、次の休み1日使ってデートしようか。どこ行きたい?」

「ちょっと遠いけど…水族館とか行きたい」

「いいよ。じゃあ、水族館行こう」

「うん!」


やばい。りょうたと水族館デート。楽しみすぎる♡


「でも、水族館は遠いからなぁ。この前のデートの時みたいに寝坊しないようにしないとね」

「うん。早起きがんばろ。楽しみだなぁ。シーラカンスとかいるのかなぁ?」

「春ちゃんってたまにバカだよね…」

「え?だって、ゲームだと釣ったシーラカンス寄贈すれば水族館にシーラカンス並ぶよ」

「ゲームと現実は違うの。春ちゃんって頭いいのにバカだよね」

「バカじゃないもん。あほなだけだよ」

「あほは認めるんだ」


こんなバカみたいなやり取りをしながら笑って2人で手を繋いで帰る。幸せだった。りょうた。ちゃんと結果出してくれてありがとう。


「りょうた、こっち向いて」

「ん?」


りょうたと私の顔が向かい合った瞬間、私はりょうたにキスをした。


「ご褒美。りょうた頑張ってくれたから……んっ……」


私がりょうたにキスをしたすぐ後にりょうたは私にキスを仕返してきた。


「ありがとう。バカな僕の勉強に付き合ってくれて」

「りょうたはバカじゃないよ。やればできる子だよ。だから、次はもっと頑張ろうね」

「うん。春ちゃん超える!」

「それは無理だなぁ。りょうた、バカではないけど天才ではないから笑」

「それ、自分で言う?笑」

「事実でしょう?」


りょうたは何も言い返せずに笑った。相変わらずバカップル全開な感じで今日も2人で帰宅した。





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