第25話 帰り道





「りょうた〜いい加減機嫌直してよ〜」


お手伝いの時にりょうたを揶揄いすぎたからか、りょうたはずっと不機嫌だ。


部活が終わり、自転車を押してりょうたの並んで歩くが、りょうたは口を聞いてくれない。


「りょうた…お願いだらか許して……」

「え、あ、春ちゃん、ご、ごめん。許す。許すよ。だからそんな顔しないで…」


チョロい。私が少し泣きそうな表情すると慌てて許してくれるりょうたが本当にかわいい。


「りょうたにずっと無視されてて傷ついた…だから、私を抱きしめて慰めて…」


私は自転車を止めて自転車から手を離してりょうたに言う。りょうたは「わかった」と言い、私をぎゅっと抱きしめてくれる。


「頭撫でて…優しく…ね……」


私を抱きしめてくれるりょうたを抱きしめ返してりょうたにおねだりする。りょうたは片腕で私を抱きしめて片腕で私の頭を優しく撫でてくれる。幸せ。


「満足?」

「まだ。しばらくそうしてて」

「う、うん。わかった」


人通りの少ない田舎道とはいえ、正直めちゃくちゃ恥ずかしいが幸せだった。


「りょうた…キス、したい」

「う、うん。いい…よ…」


りょうたに許可をもらい私はすぐにりょうたと唇をひっつける。幸せ、幸せ、幸せ、幸せすぎて死にそう。


「春ちゃん、さっきはごめんね」

「ううん。大丈夫。私の方こそ、りょうたのこといっぱい揶揄っちゃってごめんね」

「いいよ。気にしないで」

「大好き」

「僕も大好き」


完全なバカップルみたいなやり取りをして、再び唇を重ねた後、私とりょうたは目を合わせてお互い、顔を少し赤くして微笑む。りょうたの唇の温もりを感じながら、私はりょうたから離れる。


「帰ろ」

「うん」


私とりょうたは並んで歩き始める。先程まで私が押していた自転車を今はりょうたが押してくれている。


「それにしても、りょうた、あんなに拗ねちゃうなんてそんなに私見て興奮しちゃってたの?」

「そ、そんなことない…よ……」

「そんなことないんだ。もし、私のああいう仕草見てりょうたが喜んでくれるなら…りょうたの前でお着替えしたりしようかなって思ったのになぁ……なんなら……りょうたが私を着替えさせてくれても……」

「春ちゃん、反省してる?そういうとこだよ!」

「えへへ。ごめんごめん。でも、りょうた顔赤くなってるよ」

「うるさいなぁ」


そんなやり取りをしていたらあっという間に家に着いてしまう。


「りょうたなら…私のこと……好きにしてくれていいのに…」


りょうたから離れて自転車を停めている時、私はりょうたに聞こえないように小声で呟いた。




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