第24話 意地悪





「………あなたたちは何をしているのですか?」


私とりょうたが教卓ピンポンに熱中しているのを見た澤田先生がため息混じりに呆れた表情で言う。


「あー、えっと、そのぉ…先生が来るまで退屈だったから…」

「はしゃぎすぎです。反省する気はありますか?」

「反省文とこれからのお手伝いが反省の意思表示です」


そもそも、先生がもっと早く来ていれば教卓ピンポンなんてしていなかったです。と言うくらいの勢いで私が言うと澤田先生は完全に呆れた表情をしていた。


「で、お手伝いって何すればいいですか?」

「掲示物を教室後ろの壁とかに貼って欲しいの。私も歳だからそういう作業が大変でねぇ」

「あー、なるほど。わかりました。じゃあ、私たちで適当にやっておきますね。それ終わったら解散でいいですか?」

「ええ、お願いしますね」


これ以上、何か要求されないように私はりょうたの分の反省文と私の反省文を澤田先生に渡してさっさと職員室に戻っていただいた。


「さ、さっさとやって部活行こ。りょうた、教卓動かそう。私が乗るから押さえててね。私が貼ってくからプリントとか画鋲渡してくれると助かる」

「え、僕がやるよ。春ちゃんスカート出しそんなことさせられないよ」

「下にズボン履いてるから大丈夫って言ったでしょう。それに、りょうた、高いところ苦手でしょう。無理しなくていいから」

「……ありがとう。なさけなくてごめんね」

「いいの、りょうたができないことは私がしてあげるから。その代わり、私が困ってたら助けてよね」

「ありがとう。学校の宿題以外なら手伝ってあげる」


ちょっとだけ、嫌味っぽくりょうたが私に言う。私、いつも学校の宿題りょうたに見せてもらって少しは悪いな。って思ってるよ。でも、やる気でないんだもん。


さっさと終わらせるために私は教卓に上り作業を始める。


「りょうた、画鋲ちょうだい」

「う、うん」


私が手を伸ばすとりょうたは私の手に画鋲を置いてくれる。顔を真っ赤にしながら……


「彼女のスカートを下から覗き込んでる感想はどんな感じですかぁ?」


私が意地悪でそう尋ねるとりょうたは更に顔を真っ赤にする。かわいい。


「ちょっと暑いからぁ。スカートの下に履いてる体操服脱いじゃおうかなぁ……」


りょうたの顔が更に赤くなる。


「あれ、りょうた?顔が真っ赤だけどどうしたの?大丈夫?具合悪い?」


私がわざとらしく尋ねるとりょうたは「春ちゃんの意地悪…」と、不貞腐れた顔をする。かわいい。


「りょうたが脱がせてくれてもいいんだよ」

「そ、そんなことしないから……」

「本当は見たいんじゃないの?」


私は教卓の上でかがみ込んでりょうたの耳元で囁く。りょうたは顔を真っ赤にして少しだけ頷いた。かわいすぎかよ。


「りょうたのエッチ…今度から着替えの時気をつけないとなぁ…」

「春ちゃんの意地悪……」

「はいはい。意地悪してごめんね。じゃあ、さっさと終わらせて部活行こ」

「うん…」


私とりょうたは作業を再開した。りょうたが、残念そうな表情をしたのを私は見逃さず。かわいいな。と思い作業中、たまーに、りょうたがドキドキしてくれそうな仕草をわざとらしくやっていたら「春ちゃん本当に意地悪」と、りょうたに言われてしまった。ごめんね。意地悪で…



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