第20話 騒がしい朝
「春ちゃん、起きて、寝坊だよ。遅刻しちゃうよ。受験生の遅刻は内心に響いちゃうぞ〜」
日曜日、プチデートをした後は夕食を食べて交代でお風呂に入って、勉強をして、いつものように2人で抱きしめあって眠った。そして、今は月曜日の朝…
「あと5分…まだ、りょうたと離れたくなぁい」
「もう、しょうがないなぁ。あと5分だけだよ」
うん。と返事をしながら、一応時間を確認するためにスマホの画面を見る。
「いやいや、ダメじゃん!時間!よく見てよ!しっかりしてよ受験生!誘惑に負けないでよ」
今すぐ家を出ないと間に合わない時間になっていたことに気づき私は慌てる。ちょうどその時、ドタバタと足音が聞こえてきて私の部屋の扉が勢いよく開く。
「春!りょうた君!いつまで寝てるの!遅刻よ!って…朝からいちゃいちゃして!早く学校行く準備しなさい!」
「わかってるから!朝から怒鳴らないで!」
「もう、春…あなたねぇ。女の子なんだから春香ちゃんみたいに彼氏にちゃんと尽くしなさいな…」
「もー、その考え古臭いよ。今時女の子だから。とか言ってたら笑われちゃうよ。お母さんが若かった50年くらい前とは時代が違うんだからね」
「ぺちゃくちゃ喋ってる暇あったらさっさと起きて学校行きなさい!あと、お母さんそんな歳じゃないからね。まだ、40代だから」
と、お母さんは怒鳴りながら小さいパンが5つ入っている袋を私に投げつけて私とりょうたの弁当を勢いよく部屋の入り口に置いて不機嫌そうに部屋から出て行った。
「って、やばい。りょうた急ぐよ」
「あ、うん。え、春ちゃん、ちょっと…ここで着替えないでよ」
「なぁに?ドキドキしちゃうの?りょうたのエッチ…」
とバカなやり取りをしながら私はお構いなしにりょうたの前で着替える。別に下着を見られるくらい。相手がりょうたなら全然平気だし…りょうたは私に背を向けて私の着替えを見ないようにコソコソと着替えていた。反応がかわいい。
「さ、急ぐよ。しゃーない。自転車で行こう」
「え、春ちゃん許可取ってないよね?」
「バレなきゃ大丈夫だよ。ほら、急ぐよ」
私はりょうたの手を引っ張って外に出て、自転車のカゴに私の通学用のリュックをぶち込みパンが入った袋から1つパンを取り出して口に咥えて、残りをりょうたに渡す。そして、りょうたを自転車の後ろに乗せて昨日のように2人乗りで学校に向かう。
「バレたら絶対怒られるよ…」
「学校の近くまで行ったらりょうたを捨てるからりょうたは走ってね」
「えー」
「ほら、パン食べて体力つけときな」
と、朝からバタバタとバカみたいなやりとりをしながら学校に向かった。こういう朝…結構好きだな。
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