第16話 おまじない。
「ほら、ちゃんと勉強するよ」
「うん」
お昼ごはんを一緒に食べた後(お互いにあーん。しあったりいろいろいちゃいちゃしながらご飯食べたことは恥ずかしいから内緒…私たち、完全にバカップルになってる…)私とりょうたは私の部屋に戻って机の上に教科書を広げる。
「春ちゃん、これ、わからない」
「はいはい」
「春ちゃん、これ、わからない」
「はいはい」
「春ちゃん、これ、わからない」
「はいはい………りょうた、わざとやってる?」
5分に一度のペースでりょうたに質問されて、さすがに不信感を抱き始めた私はりょうたをジト目で見つめながらりょうたを問い詰める。だってさ、1回目と2回目はまだ、わからないって言われても、たしかに難しいよね。って言えるよ。でも、3問目は論外よ。
「ごめんなさい…その、1回目と2回目は本当にわからなかったけど…春ちゃんの声が聞きたくて嘘ついた」
かわいいかよ。かわいいけど…嘘はダメだなぁ。
「次、同じことしたら、私本当に怒るからね、強制帰宅だからね。本当にわからないなら聞いてもいい…って言うか聞いて欲しいけど…今は真面目に勉強する時間。私たちの将来のためにもさ…」
「うん。ごめんなさい…」
「いいよ。次からは気をつけて…でも、たしかに無言で勉強は辛いよね…じゃあさ、2時間頑張ったらご褒美になんでも一つ言うこと聞いてあげる」
「いいの?」
「うん」
なんでも…はちょっとまずいかな…って思うけど、相手がりょうたなら大丈夫だよね。
「だったら…頭撫でて欲しい…」
ほら、かわいい♡
「それだけでいいの?」
「抱きしめて欲しい…」
「他には?」
「一緒にお昼寝したい…」
「他には?」
「え、えっと…キス…したい……」
次第にもじもじしながら言い辛そうに言うところ、まじで純粋でかわいいわぁ。見てて癒される。
「じゃあ、全部してあげる。あと2時間頑張ったら1時間お昼寝休憩しよう。2人で抱きしめ合って、キスして、お昼寝しよう。りょうたが寝られるまで頭なでなでしてあげる」
「春ちゃん…僕、頑張る」
素直!めちゃくちゃかわいい。やばいよ。この子、まじでかわいいよ。
「うん。頑張ろう。私も楽しみにしてる」
「う、うん。じゃあさ…頑張れるおまじないして…」
あれ?ちょっと積極的になってきたかな?りょうたは私におねだりするような表情で私を見つめる。
「はいはい。でも、あくまで頑張れるおまじない。だから、これで我慢してね」
私はりょうたの頭をそっと撫でてあげる。めちゃくちゃ嬉しそうにしているりょうたを見て…子犬かよ…って思ってしまったことは内緒にしておこう。
さあ、勉強頑張ろう。りょうたが勉強頑張れるおまじないをした後、私とりょうたは黙々と勉強を始めた。
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