第15話 家庭科のお勉強




「春ちゃん、おはよう」


私が目を覚ますとりょうたが私におはよう。と言ってくれた。幸せすぎる。もう一眠りしたいな…と、思いながら私はスマホの時間を確認する。


「ねーえ。りょうたはいつから起きてたの?」

「え、えっと…8時くらい?」

「はぁ?あんた、3時間もずっとボーっとしてたの?」


スマホの画面には11時と表示されていた。


「え、えっと…ボーっとしてたわけじゃないよ。春ちゃんをずっと抱きしめてたし、春ちゃんの寝顔…かわいいから見てて飽きなかったし…その、幸せ…だったし……」


朝っぱらからかわいすぎかよ。あーもう。怒れないじゃん。午前中は勉強できないわこれ…本当に受験大丈夫かな……


「じゃあ、春ちゃん起きたしそろそろ起きて勉強しようか…」

「ばか。りょうただけ幸せな気分味わうのずるい…しばらくこうしてる。離さないから…」


私はりょうたをギュッと抱きしめて言う。あぁ…幸せ。あと30分は絶対こうしてるから。



「春ちゃん、そろそろ起きよう」


1時間ほど経過して時間は12時…もうダメだ。りょうたといると幸せすぎて何もできない……


「そうだね。じゃあ…そろそろ勉強しよ…」

「うん」


たぶん、私、寂しそうというか、悲しそうな表情をしていたのだろうな。うん。と言いながらりょうたは私の頭を優しく撫でてくれる。優しいかよ。かわいいかよ。最高かよ。


「りょうた、ありがとう」

「いえいえ、これくらいいつでもしてあげるよ」

「嬉しいなぁ…じゃあ、またやってね」


なんか、完全にバカップルになっている気がする……ついこの前までただの幼馴染みだったはずなのになぁ……


「うん。じゃあ、勉強、教えてください」

「はーい。じゃあ、まずは家庭科の勉強ね」

「家庭科?」


りょうたが面白い反応してくれた。まあ、そりゃあびっくりするよね。勉強するって言っていきなり家庭科とか言われたら…


「今日、お昼、家に私とりょうたしかいないからお昼ごはん一緒に作ろう♡りょうたが好きなミートパスタ作るからさ」

「え、やったぁ。春ちゃんの料理美味しいから楽しみ」

「りょうたも手伝うの!2人で作ろう」

「う、うん」


りょうたは私のお兄ちゃんとは違い料理はそこそこできる。りょうたの姉の春香ちゃんが料理上手で料理好きだから、りょうたにもいろいろ教えていたみたいだ。


「春ちゃんと料理するの楽しみだなぁ」

「私も、りょうたと料理するの楽しみ」


私はベッドから起き上がり軽く髪を整える。ちょっと髪の毛が跳ねていてそんな姿をりょうたに見られるのは少し恥ずかしかったが、悟ってくれたりょうたは私が髪を直している間、私から目を逸らしてくれていた。


「お待たせ、ありがとね。りょうた」

「ん?何の話?」


わかってる癖に…優しいなぁ。こういう些細な気遣いできるところ本当に大好き。


「じゃ、いこ…」

「うん」


私がりょうたに手を差し出すとりょうたは私の手を握ってくれた。私とりょうたは2人で手を繋いで台所に向かう。


「りょうた、次、人参微塵切りにしてね」

「はーい」


私の指示に従ってりょうたはテキパキとこなしてくれる。優秀だわぁ…これがお兄ちゃんだったらこうはいかない。お兄ちゃんは微塵切りなんて器用なことできないから笑


私はりょうたが用意してくれたものなどを使いながらミートソースを作り始める。その間、りょうたはパスタの麺を茹でてくれている。


「ん、こんなもんかな…りょうた、ちょっと味見してよ」


ミートソースがいい感じになってきたので私は味見でスプーンに少しミートソースを食べると言い感じだったので、りょうたにも味見してもらうことにした。スプーンに少しミートソースを載せて、熱いので軽く息を吹きかけて冷ましてからりょうたにスプーンを向ける。


「え、あ…う…」


なんでもじもじしているのだろう。と一瞬疑問に思ったが…あぁ、あーん。されるのが恥ずかしいのか、しかもりょうたのことだから間接キスとか考えているのだろう。いちいちかわいいな。


「味見…してくれないの?」

「する。喜んでするよ。あ、うん。めちゃくちゃ美味しい」


私が悲しそうな表情をするとりょうたは慌てて味見をしてくれる。ちょろい。


「美味しくできたなら…褒めて欲しいな…」

「あ、うん。春ちゃん、美味しく作ってくれてありがとう」


りょうたはそう言いながら私の頭を撫でてくれる。はぁ…最高に幸せ♡


「りょうたも、お手伝いしてくれてありがとう」


お返しに、私も少し背伸びをしてりょうたの頭を撫でてあげる。すると、りょうたは顔を真っ赤にしてありがとう。と言ってくれた。かわいすぎる。





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