第24話:勇者の寝処

魔王を倒した勇者パーテは、ペウスの街にやってきていた。

夕方、街はずれの家を訪れ、大金を渡して住民を追い出すパーテ。

シャークの街で情報屋から受け取ったお金を、パーテはこの街で使いまくっていた。

家を買い取ったパーテの前に、商人たちが樽を運んでくる。


「勇者様~、ご注文の品をお届けに参りましたー」商人

「ご苦労様。ほら後払い分の金だ。持ってきな」勇者

「ありがとうございます! ですが、こんなにも火薬を買ってどうするおつもりで? 不要な建物を壊す予定でもあるのですか?」商人

「似たようなもんだな。ちょっとしたお祝いに花火を楽しむのさ。盛大な奴をな! それと、この周囲の土地は買い取ったから、誰も近づかせないでくれ。俺は魔物に命を狙われる身だ」勇者

「そ、そうなのですか。へい、我々一同、お客さん方にも伝えておきます」商人

「こんだけ追加で払うから、すぐ街中に伝えろ!」勇者

「ありがとうございます! すぐ街中に! 今後も我々の店をぜひ御贔屓に!」商人


商人たちは街の中心へと走り去っていく。

パーテはため息をつくと、先ほど買った家へと入っていく。


「家を買うのは久しぶりだな。故郷で、魔物を滅ぼすためにと資金を集めて、その金で豪邸を建てたんだったか。……いやぁ、懐かしいぜ。約束もほとんど果たしたし、これで胸を張って、あの豪邸に帰れるってわけだ!」勇者


家の間取りを確認していくパーテ。

あらかた部屋を見た後、パーテはシャベルを片手に再び庭に出る。


「故郷を出てからは、常に金欠。サバイバル生活がすっかり板についちまった。危険に気を使いすぎるっつーのか。魔王は確かに死んだが、どうしても不安を拭いきれねえ!」勇者


パーテは購入した家の前で、なにかの準備を始める。

作業中のパーテを照らす太陽は、あっという間に沈んでいった。

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