第23話:魔王の無防備状態
勇者と魔王の戦いから、半日後。
日は完全に沈み、人間が寝静まる時間帯に、魔王は風呂に入っていた。
完全無欠の鎧も脱ぎ、完全に無防備な魔王。
そんな魔王の元に、忍び寄る人影があった。
「はぁ~あぁ~、今日は参ったものだ。まさかリパンチュがやられてしまうとはな。人間相手に油断しおって、あのバカ者めっ! 奴の秘伝魔法なしでは魔物を増やせんから、これからは我自らが動くことになるのか。なんと面倒な」魔王
「なら楽にしてやるぜぇ」勇者
「なに? ぐおおぉっ!?」魔王
風呂に入る魔王の首に、背後から剣を突き刺すパーテ。
パーテの剣に塗られた猛毒は、魔王の体をあっという間に蝕んでいく。
魔王の浸かっていた風呂や湯は、あふれ出る魔王の血で、赤く染まっている。
「テメェの裸を拝めてうれしいぜぇっ! バカ魔王がよぉっ! まさかこんなに早く、鎧を脱ぐとは思わなかったがなぁ!」勇者
「きっさまあぁ! この我が肉体に剣をおおおぉっ! おおおおおぉ! 体が動かぬううぅっ!」魔王
「確かに暗殺できるな、こいつは! パミングの言ってたとおりだ!」勇者
「パミングぅ!? そいつかぁ! 我を売った輩はぁっ!」魔王
「おっと勘違いするなよ! テメェを殺したのは俺の実力だ! 着てるだけで無敵になれる鎧だが、お前、俺が侵入してから着てやがったんだろ! 普段の生活では鎧を外してるって、ちょ~っと考えれば丸わかりなんだよぉ!」勇者
「お、おのれえぇ……!」魔王
魔王はどんどんと力なく倒れていき、最後は血の風呂へと沈んでいく。
パーテは風呂を剣で刺しまくり、風呂の中の魔王を仕留めた。
風呂の中から、お金が浮いてくる。
パーテは困惑した様子だったが、しばらくして、納得したように頷く。
「もしかして、魔物を倒すと金になるのか? そういえば、さっきリパンチュも金と神槍を落としてやがったな。……けっ、今更遅いぜ! それにこんなはした金、汚い風呂に手を入れるくらいなら要らねーよっ! ぺっぺっ!」勇者
血だらけの風呂に、唾を吐きかけるパーテ。
剣を収めると、そのまま浴室とホールを抜け、魔王城を立ち去った。
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