第22話:魔王の無敵状態

魔王城のホールにて、勇者パーテは四天王リパンチュを打ち破った。

リパンチュの神槍を破壊するパーテ。

その様子を眺めていた魔王は、2階からホールへと降り立った!


「うおっ! なんだ!?」勇者

「ふううぅ。貴様だな? 四天王をことごとく葬った輩はっ!」魔王

「全身防具だが、その声はパミングじゃねえな! 魔王か!? 死ねぇ!」勇者


パーテは持っていた剣で、鎧を突き刺す!

しかし、剣は鎧に触れることなく動きを止める。

魔王の防具を包むバリアによって、パーテの突きは完全に防がれた。


「な、なに!? これは魔法か!?」勇者

「いいや、我が魔具の力だ! 他の魔具すら通さぬ、完全無欠の鎧! 海に沈もうが、太陽に突っ込もうが、食料をすべて奪われようが! ちぃ~っとも我には通じはせん!」魔王

「弱点はねえってのか!? いやそれはあり得ねえはずだ! それならお前が率先して街を襲ってるはず!」勇者

「貴様の予想通り、弱点はある。動きや装着が遅いという弱点がな。そのおかげでリパンチュやもう一人の四天王に加勢できなかった……。だが、一度装備してしまえば無敵よ」魔王

「く、その言葉が本当かどうか、俺が試してやるよぉ!」勇者


パーテは魔王の顔にハンマーを投げつける!

しかし、バリアによってハンマーは弾かれてしまう。

そこにパーテは走り寄り、背後に回り、鎧に指先を近づけた。

だが当然バリアに阻まれ、鎧までは届かない。


「はははは! 背後から不意打ちしようが無駄だっ!」魔王

「触っても大丈夫なのか。ならこうだ!」勇者


パーテは魔王の背中によじ登り、バリアの上から魔王の兜部分をつかむ。

そして、兜を背中側に引っ張りはじめた。

しかし、魔王の首や頭はびくともしない。


「く、首も折れねえのか!?」勇者

「外部からの力では一切動かぬ! むぅん!」魔王

「ぐおあぁ!?」


魔王は頭上のパーテを両手でつかみ、足元へと叩きつけた!

そのまま魔王は倒れ込み、全身鎧の重さで、パーテを押し潰そうとする!

パーテは横に転がり、なんとか攻撃を回避した!


「避けたか!」魔王

「あ、危ねえ! だが危険承知での首折りも通じねえとは! 長期戦で疲労させるしかねえのか!?」勇者

「無駄なことだ。この鎧は周囲のエネルギーを少しずつ取り込んでいる。我の栄養が尽きることはない。そもそも魔力で操作しておるから、疲労はしないがな」魔王

「また魔法かよっ! いや、魔具は魔法が使えなくても装備できるんだったか。……ダメだ! 倒す方法が思いつかねえ!」勇者


パーテは少しずつ後ずさる。

倒れていた魔王は立ち上がり、落ちていたハンマーを拾いにいく。


「さて。そろそろ決着をつけようではないか。さっきは潰し損ねてしまったからなぁ。次はハンマーで体を砕くとするか!」魔王


魔王がハンマーを拾い、パーテのいたほうに振り返る。

しかし、すでにホールにパーテの姿はなかった。


魔王を目の前に、魔王城ホールから姿を消した、勇者パーテ。

すでに四天王リパンチュは倒され、魔物増加の脅威は消え去っている。

果たしてパーテは、無敵の魔王を倒すつもりなのだろうか?

それとも、すでに魔王軍は脅威ではないと判断し、冒険をやめるのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る