第21話:魔具と魔法

魔王城のホールにて、対峙する勇者と四天王。

勇者パーテは剣を構え、四天王リパンチュは魔具の神槍を構える。

その時、リパンチュが、ぶつぶつと何かを唱え始めた。


「……ぃ、……っ、……ん」四天王

「魔法!? させるかよっ!」勇者

「おっと! よく魔法だとわかったな。勘のいい奴だ」四天王


パーテがハンマーを投げつけるが、リパンチュは飛び退いて避ける。

お返しとばかりに、切りつけるように槍を振るリパンチュ。

すると、槍の刃が通ったところに斬撃が出現し、パーテに向かって飛んでいく!

パーテはとっさに体をそらし、斬撃を回避した!


「うおおっ!? や、槍から魔法を撃ちやがった!」勇者

「魔具の強みは、対応する魔法との併用性にある。魔法を使える私こそが、この世で最も魔具を扱えるのだ!」四天王

「魔法魔法うるせえな! 魔法で切るなんて大したことねぇんだよ! 武器で切りゃあいいんだからなぁ!」勇者


パーテは、リパンチュの腹部目掛けて、素早くナイフを投げつける!

しかし、リパンチュは槍を突きつけ、飛んできたナイフを一刀両断にした!

そこにパーテは、毒薬入りのビンを投げつける!

ビンは槍先に突き刺さり、毒薬がリパンチュに飛び散った!


毒薬のついた箇所からは煙が上がり、肌がわずかに溶けている。

リパンチュは悲鳴を上げながら、槍を落とした。


「ぐぎああああぁっ!? なんだこの痛みはぁっ! ぐおおおおおぉっ! こんなものを私に投げつけおってえぇっ!」四天王

「毒まみれで死ねえぇ!」勇者

「舐めるなぁっ!」四天王


パーテが剣を投げつけるが、リパンチュはすぐに落とした槍を拾い、棒の部分で、パーテの剣を弾き飛ばす!

パーテの剣はリパンチュの顔をかすり、少し離れた位置に落ちてしまう。


「あああぁ! 手こずらせおって! だがこれで終わりっ、……うっぐ」四天王

「ああ終わりだよ。テメェが終わるんだ! 俺の剣には、体内に入れば即死する猛毒が塗ってあった! お前は間もなく即死するのさ!」勇者

「ち、遅効性じゃ、なかったのかっ! しかも剣に毒だと! パミングめぇ、ぬけぬけと嘘を! あ、頭が痛いぃっ!」四天王

「あいつに騙されてたのか。殺しておけばよかったのに」勇者

「うああぁ、ああぁ! 覚悟しておけ貴様ぁ! 魔王様の魔具はなぁ! 誰にも破れない史上最強の魔具なのだあああぁっ!」四天王


リパンチュは膝をつき、頭を押さえながら絶命する。

四天王の消滅を見届けたパーテは、あることに気がつく。


「あ、お金と神槍落ちてる。ラッキー」勇者


パーテはお金を拾い、神槍を手にする。

すると、神槍の攻撃エネルギーがパーテに流れ込んだ!


「痛えぇ! なにしやがる、このクソ槍がああぁっ!」勇者


パーテはとっさに神槍を床に突き刺し、そのまま刃を側面から蹴り折った!

槍の刃は棒の支えを失い、床を裂きながら地中に沈んでいく。

こうしてパーテは、最後の四天王と神槍を打ち破ったのだった。

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