第17話:残された強敵
勇者パーテはシャークの街を離れ、次なる町に向かっていた。
伝説の勇者の地図が正しければ、パーテが今向かっている町こそが、魔王城に最も近い町である。
日が昇り始める中、パーテはテント内で情報確認をしている。
「最終確認だ。次に向かうのはペウスの街! 山に囲まれていて、武具の生産がかなり盛んらしい。前に手に入れた地図が正しけりゃ、ここから魔王城に乗り込むことになるな」
パーテは地図をしまい、テントの外に出る。
そして大きな石を3つ、一列に並べる。
「残る強敵は3人! 四天王2人と、魔王っ! こいつらさえ殺せば、残った魔物を絶滅させるのが容易くなるはずだ!」勇者
パーテは剣を取り出し、剣先を左の石に向ける。
「まず四天王リパンチュ! 俺が会ったことのねえ四天王か! 情報屋によれば、こいつこそが魔物を生み出している元凶らしい! つまりだっ! こいつだけは何よりも優先して殺す! でも魔法を扱うって噂があるからなー……。いやいや、精霊に勝った俺が負けるかよ! 魔法なんてデマだ! 死ねっ!」勇者
左の石を蹴り飛ばすパーテ。
続いて、パーテは剣を、中央にあった石に叩きつける!
「次にパミングっ! テメェは絶対に跡形もなく殺すっ! 2度も俺を暗殺しようとしやがってぇ! 毎晩毎晩、夜になる度に思い出すんだよ! なにが勇者少女だ! 人間の姿で殺そうとしやがってよおおぉ! クソがぁっ!」勇者
パーテの次なる一撃により、中央にあった石は地中深くに沈んだ!
最後にパーテの剣は、右側にあった石を指した。
「はぁ、はぁっ。……最後に魔王! モンスターはこいつの指示で動いているらしい! だが魔王自体にモンスターを増やすすべがないなら、こいつよりもリパンチュを優先して殺すべきだ! 四天王を消し! 増えなくなった魔物も消し! 孤独の中、こいつは勇者様に引導を渡されるのさーっ! このようにな!」勇者
パーテは右側の石を拾い、遠くへと放り投げた。
剣をしまい、テントを片付け始めるパーテ。
先ほどとまでは違い、興奮した様子はない。
「ふぅ~。ちょっと気が早かったな。まだ魔王城の存在すらわからねえ。あったら寝首を掻くくらいの軽い気持ちで行こう」勇者
荷物をまとめ、勇者パーテは足を進める。
本当にあるのかわからない魔王城。
パーテは、魔王城の真偽に確実に近づいていた。
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