第14話:一撃必殺の矢弾

岩山だらけの荒野にて、勇者パーテと四天王ルンルンドンが対峙した。

四天王ルンルンドンは、片眼鏡を装着する。

二人の戦いは、距離のある状態で始まるのだった。


「よくも俺の前に姿をさらせたもんだなぁ! 小動物とかの獲物は、俺の殺気を前にすれば、身動きすら取れなくなるのによぉっ!」四天王

「はん! 大口は矢を当ててからほざくんだな!」勇者

「俺の弓はよぉ! 殺意を込めるからブレが大きくて当たらねえのよ! だが! このモノクルをつければ、掠り当たりくらいは狙えんだよ! 掠っただけで、腕が吹き飛ぶような当たりをなあぁ!」四天王

「おっと! って、なんてところ狙ってやがる!? あまりに外しすぎなんだよぉ! へたくそ野郎がぁっ!」勇者


パーテは岩から飛び退いて、矢を回避する。

しかし、ルンルンドンの矢は、パーテの回避先のさらに奥を貫いていた!

先ほどのパーテの位置からあまりにも離れたところを、撃ち抜いたのだ。


「なんだと!? ど、どうなってやがる!? 俺様の狙った位置から、なんであんなにも離れたところに飛んだんだぁ!?」四天王

「ぐ、マジで下手なのかよテメェ! 逆に避けにくいだろーがっ!」勇者


パーテは、ルンルンドンにハンマーを投げつける。

しかし、ルンルンドンは岩陰に隠れ、ハンマーは当たらずに終わる。

着地したパーテも岩陰に隠れる。


「く、とりあえず近づかねーとダメか。また矢が飛んでやがる。あれだけ下手に撃たれると、予測して避けるのは不可能だな。なら正面から寄って殺す! 矢は感覚で避ける! よっしゃ死ねぇーっ!」勇者

「来たか殺す! 来なくても殺す! 当たらねえから絶対殺すっ!」四天王


周りに矢が飛んでいる中、パーテは正面から四天王に駆け寄る。

しかし、ルンルンドンの構えた弓が、ついにパーテを捉えた!

2人の距離は詰まり、どちらも攻撃するだけで相手を倒せる位置にいた。


「このモノクルは罠だっ! 俺の目に見えてるものが正しい! どう見ても間違いねえっ!」四天王

「もうてめえは手遅れなんだよっ!」勇者


四天王ルンルンドンは、モノクルをつけた方の目を閉じ、裸眼だけで狙いを定める!

パーテは剣を振り下ろすが、刃がルンルンドンに届く前に、ルンルンドンの一撃必殺の矢が放たれてしまう!

そこでパーテは、剣の側面で矢羽付近を弾き、矢の軌道をそらした! 剣は勢いを保ったまま振り下ろされ、四天王ルンルンドンを弓矢もろとも一刀両断にする!


「がああぁ!」四天王

「みたか! そんな殺気ごとき、俺の前ではお遊びなんだよ! 最初にビビッて損したぜ、ったく!」勇者 


勇者パーテは、消滅していく四天王を背にして、先に進んでいく。

四天王を正面突破したパーテには、もはや怖い敵などいないのだった。

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