第13話:ルンルンドンの殺意

勇者パーテは、勇者の街を離れて、岩山だらけの荒野を歩いていた。

昼の日差しの中、パーテはあたりを執拗に見渡しながら、足を進める。


「な、なんだなんだ? この全身に伝わるような悪寒はよぉ! ケガで寝てた時より、何倍にも増して命の危機みたいなのを感じる! 幽霊でもいるのか? いや、バカバカしい話だ。っ、なんかくる!?」勇者


パーテがとっさに飛び退くと、パーテが先ほどいた位置より少し離れた位置を、何かが突き通っていく!

それは矢だった。矢は岩の中から飛び出し、対面の岩の中へと突き進んでいく。矢が通った後の岩には、矢のサイズよりも、一回りは大きい風穴が開いている。


「…………今の矢だっ! 今の矢から、この不快な感覚があふれ出てやがった! どこかからの敵襲だな!? ふざけやがって! 避ける方向間違えてたら、俺の胴に穴が開いてたところだっ!」勇者


パーテは緩やかな岩山を駆け登り、あたりを見渡す。

パーテの周りは、岩山が比較的多く、敵が隠れそうな場所は多く存在している。


「いねえ。穴の方角にも岩山があるようだが。場所を移したことはわかってんだよっ! そこの尖った岩山の裏だろ! さっさと出てきやがれ!」勇者


パーテは剣で差した方向に、毒薬入りのビンを投げつける。

ビンは尖った岩山の頂点に当たり、ビンの中身が、尖った岩山の裏に巻き散らばる。

すると、岩山の裏から煙を発しながら、魔物が現れた!


「ぎあああぁっ! 痛えぇっ! てめえぇ! よくも四天王であるこの俺様の顔を、こんな薬で溶かしやがったなぁっ! 絶対殺す!」四天王

「殺すはこっちのセリフだ! よくもこの俺をビビらせやがったな! つか、隠れてるつもりだろうが気配でバレバレなんだよ! 切り潰すぞゴミがっ!」勇者

「うおぉ! 顔がまだ痛む! だが俺は隠れていたわけじゃねえ……! この魔王軍四天王、集団狩りのルンルンドン様が扱う魔弓は! 俺の溢れる殺気を吸うことで、全てを貫くんだよぉっ!」四天王


対峙する、勇者パーテと四天王ルンルンドン。

遠距離攻撃を仕掛けてきた四天王に、果たしてパーテは勝てるのか?

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