第12話:一時の休暇
勇者パーテは、魔王城の在処を示した地図を手に入れた。
大きな傷を負ったパーテだったが、山から糸の罠が消えていたため、下山にはさほど時間はかからなかった。
下山してから、数日後。
パーテは、山のふもとに野営を張っていた。
パーテの顔色は、登山時よりも明らかに悪くなっている。
「おえぇ。は、吐きそう……。腹の傷口は痛まなくなったってのに。まさか体調を崩しちまうとは」勇者
パーテの傷も完治はしていなかった。
腹部の傷はかなり塞がっており、激しい運動さえしなければ、治るのも時間の問題である。
しかし、四天王パミングにナイフで刺された肩の傷は、未だに塞がってはいなかった。冒険用に作られた、太く丈夫なナイフで刺されたため、傷の治りが遅いのだ。
「とりあえず地図見よ……。魔王城があるのは、街を2つ超えたところ。現代の地図だと、街の位置は大体合っているが、魔王城の記述はない。魔王城周辺には山岳地帯が多い。……ここまでが昨日までにわかったことだ」勇者
パーテは現代の地図に、魔王城の位置を付け足す。
「現代の地図には、魔王城の位置の記述がない。都合よく考えれば、隠されているだけかもしれねーけど。この魔王城はすでになく、現代魔王は別のところに移り住んでいる可能性もあるな。なんにしても、一度調べる必要がある」勇者
パーテは、二つの地図を袋にしまい、本日3度目の睡眠体制に入る。
「とりあえず、明日は買い物だ。魔王城の位置は書き写した。伝説の勇者の遺品は、たとえ地図でも、高く売れるだろうからな。消耗したのは、ハンマー、ナイフ、体力。久々の金だーっ」勇者
勇者パーテは、眠りに落ちる。
まだ塞がっていない傷もあるが、睡眠によって着実に、パーテの体は回復していくのだった。
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